1992 Fiscal Year Annual Research Report
双生児法による精神分裂病の成因に関する遺伝的・非遺伝的形質の総合的研究
Project/Area Number |
04404048
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡崎 祐士 長崎大学, 医学部, 助教授 (40010318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 誠 長崎大学, 医学部, 講師 (00145393)
新川 詔夫 長崎大学, 医学部, 教授 (00111170)
久保 真一 長崎大学, 医学部, 講師 (10205122)
中根 允文 長崎大学, 医学部, 教授 (80039833)
道辻 俊一郎 長崎大学, 医学部, 講師 (90174060)
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Keywords | 双生児 / 精神分裂病 / 診断一致率 / MRI / 脳室拡大 |
Research Abstract |
1.分裂病双生児を本年度末迄に37組(片方死亡5組、両者健在同性27組、同異性5組)を施設ベース情報により発見した。両者健在で長崎県生まれ29組中に分裂病双生児39人がいた。これは県人口と出生数から推定した分裂病双生児総数の約40%に相当し、この意味ではわが国最大規模の分裂病双生児標本となった。 2.本年度は、面接・診断、質問紙を全員に、7種の血球・酵素・血清型およびDNAフィンガープリントによる卵性診断、脳の高解像度MRI画像撮影、胎生期異常の指標である微小身体奇形、指紋、神経心理検査(3種)、追跡眼球運動検査、性格質問紙検査を平均3割の双生児に実施した。血液の一部は株化培養保存した。調査と検査は1991年12月長崎大学医学部倫理委員会で承認された書面によるインフォームドコンセントを得て実施している。本年度の主な結果は以下の2点である。 3.長崎県内出生の24組の双生児は、一卵性(MZ)18組と二卵性(DZ)6組に分類された。DSM-III-R分裂病診断一致率は、組法でMZ41.2%、DZ0%、発端者法でMZ52.4%、DZ0%であった。発端者法一致率はわが国初の報告であり、近年の英国(1987)、ノルウェー(1991)の報告値と近似し、分裂病の遺伝規定性は50%程度であった。 3.分裂病診断一致4組、不一致4組、対象5組を含む31人のMRIを記録した。三次元画像解析により脳の11部位の容積・体積を測定した。診断一致組は臨床的に重症であったが、第三脳室と側脳室が顕著に拡大していた。(左側≧右側の傾向)。片方の双生児のみ分裂病罹患の不一致組では、軽度の脳室拡大を認め、罹患双生児が健常双生児よりも1組を除く3組で大であった。海馬サイズと分裂病の一貫した傾向は認めなかった。脳室の拡大(形成不全または萎縮)は、分裂病重症度および分裂病遺伝子型の「浸透度」と関連する可能性が考えられた。
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