1993 Fiscal Year Annual Research Report
双生児法による精神分裂病の成因に関連する遺伝的・非遺伝的形質の総合的研究
Project/Area Number |
04404048
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中根 允文 長崎大学, 医学部, 教授 (80039833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 誠 長崎大学, 医学部, 講師 (00145393)
新川 詔夫 長崎大学, 医学部, 教授 (00111170)
大久保 起延 長崎大学, 医学部, 医員
道辻 俊一郎 長崎大学, 医学部, 講師 (90174060)
岡崎 祐士 長崎大学, 医学部, 助教授 (40010318)
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Keywords | 精神分裂病 / 双生児 / 脳 / MRI / 指紋 / 異種性 |
Research Abstract |
1.遺伝疫学的課題:少なくとも片方が分裂病に罹患している同性双生児27組(一卵性20、二卵性7)と異性双生児5組が、本研究の現在の対象総数である。昨年度迄に、本邦の新しい双生児診断一致率と出生順位の罹病への影響等の遺伝疫学的結果を報告した。本年度は、盲検法による診断と大脳皮質形成の時間マーカーである指紋の収集と分析が進行中である。指紋については、井上英二(1970)の一卵性分裂病双生児標本(分裂病一致33組、不一致18組)及び対照双生児53組の指紋を再分析する機会を得た。個体内の左右の指紋パターンの差異Fluctuating Asymmetry (FA)は、両者とも分裂病に罹病した一致群は他の群よりも有意に大きく、FAの概念から発達的に脆弱で環境の影響を被りやすいことが明らかになった。 2.双生児ペア比較法:40人の双生児のMRIを撮影したが、一卵性の分裂病一致6組、不一致5組、健常対照6組(計34人)の脳画像の3次元解析を実施した。一致群は全脳、左右半球、左側頭葉、小脳が対照群より有意に小さく、左右側脳室、第三脳室、左右シルビウス裂が有意に大であった。不一致群はこれらの部位で中間値を示した。また、左右側頭葉と左右側脳室、左シルビウス裂では不一致群は一致群と対照群よりも大きい傾向があった。不一致群内では海馬が分裂病罹患双生児が非罹患双生児よりも小さい傾向があった。この知見は先行研究を部分的に再現すると共に、新知見を追加したものである。脳形態学的所見も指紋同様、一致群と不一致群の異種性を示唆する結果であった。 3.双生児のDNA資料を用いて、双生児形成後の遺伝子突然変異の分裂病発症への関与可能性の有無の検討を開始した所である。
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Research Products
(1 results)