1994 Fiscal Year Annual Research Report
双生児法による精神分裂病の成因に関連する遺伝的・非遺伝的形質の総合的研究
Project/Area Number |
04404048
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中根 充文 長崎大学, 医学部, 教授 (80039833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新川 詔夫 長崎大学, 医学部, 教授 (00111170)
越智 誠 長崎大学, 医学部, 講師 (00145393)
藤原 妙子 長崎大学, 医学部, 助手 (20244056)
林田 雅希 長崎大学, 医学部, 助手 (70264223)
岡崎 祐士 長崎大学, 医学部, 助教授 (40010318)
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Keywords | 精神分裂病 / 双生児 / 磁気共鳴画像(MRl) / 遺伝要因 / 環境要因 / 胎正期 / 周産期障害 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
本研究の双生児標本は、本年度の追加発見により、両者健在双生児のみで、同性28組(長崎県出生25組)、異性6組となり、長崎県出生分裂病双生児の約40%を含む規模となった。 1.遺伝疫学的検討 (1)年毎の分裂病双生児出生期待数と発見数から、双生児は分裂病罹病率が一般人口中よりも高率である可能性を示唆する知見が得られた。Klaningら(1994)の知見と符号する所見である。 (2)分裂病診断一致率:一卵性18組では組法38.9%、発端者法47.6%、二卵性6組では何れも0%であった。操作診断基準を用いた海外の最近の2つの報告値と極めて一致した値である。 (3)双生児の後生まれは、分裂病がより重症であることを示唆する知見:出生順位不群の1組を除く23組のGlobal Assessment of Functioning評価で、有意に後生まれが重症であった。 (4)指紋解析:lnouye(1970)の双生児標本で、一卵性分裂病一致群、不一致罹病群、不一致非罹病群、及び対照群の指紋を比較した。不一致罹病群のみ対照群より母指の絶対隆線数が有意に多かった。同じ外胚葉起源の母指指紋の異常は大脳皮質形成の異常の存在を推測される。 2.双生児ペア比較法 2卵生双生児1組と対照として側頭葉てんかん不一致組を追加撮影し、MRl画像による体・容積計測のROlに前頭葉を追加した。結果は昨年の結果を再現したが、現在補正検定を実施中である。神経心理検査所見との比較検討も含め、研究成果報告書で詳細に報告する予定である。 3.双生児法と分子遺伝学的方法の結合:不一致一卵生双生児のゲノムは、疾患遺伝子アッセイ系である。本年は、Arinamiら(1994)が認めたDRD2遺伝子の311Ser→Cys変異を、改良した方法で双生児16組(一致6組、不一致4組、対照6組)について検討したが、陰性であった。 4.今後、盲検評価の完成、MRl三次元サブトラクション処理、ペア内のゲノム間差異検出が課題である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 岡崎,祐士: "3次元MRl脳画像" 臨床精神医学. 24(印刷中). (1995)
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[Publications] 岡崎,祐士: "精神分裂病の神経発達論的成因仮説" 臨床精神医学. 21. 205-218 (1992)
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[Publications] 岡崎,祐士: "精神科症例集:精神分裂病ll(佐藤光源 編)" 中山書店(東京)(論文名:一卵性双生児の精神分裂病非一致例), 393(16) (1994)
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[Publications] 岡崎,祐士: "精神の病理学:多様と凝集(新宮,一成・北村,俊則・島,悟 編)" 金芳堂(京都)(論文名:精神分裂病の病前の特徴を「覗く」), 387(36) (1995)