1992 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー光を利用した眼内微小構造と血液循環の動的検索
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04404067
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
清水 弘一 群馬大学, 医学部, 教授 (10009946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆行 群馬大学, 医学部, 助手
木村 保孝 群馬大学, 医学部, 助手
岸 章治 群馬大学, 医学部, 助手
村岡 兼光 群馬大学, 医学部, 講師
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Keywords | 走査型レーザー検眼鏡 / SLO / 網膜循環 / 蛍光眼底造影 / 網膜硝子体界面病変 / インドシアニングリーン / 赤外蛍光造影 |
Research Abstract |
1.眼底疾患のある108眼と正常眼2眼に走査型レーザー検眼鏡(SLO)による蛍光眼底造影を行い以下の結果を得た。(1)傍中心窩血管網では、毛細血管内を流れる過蛍光点が観察された。過蛍光点の移動距離は毛細血管前細動脈では長く、毛細血管内では短く、細静脈では再び長くなった。毛細血管内の過蛍光点の速度は平均1200ミクロン/秒であった。(2)過蛍光点の数は白血病では多かった。正常人の血液の蛍光染色では白血球と血小板が染色され、過蛍光点を反映するものと推定された。 2.正常人10例15眼にSLO蛍光眼底造影を行い、網膜下耳側静脈の血流速度を測定した。平均値は27.3±9.1/秒であった。心拍により血流速度が変化するのが観察された。 3.網膜静脈分枝閉塞症では、静脈閉塞野に向かう心拍に伴った血流の逆流が観察された。 4.SLOによるモノクロ眼底撮影は、網膜硝子体界面病変の描出にすぐれていた。アルゴンレーザーを観察光にすると、網膜の表面が強調され、ヘリウムネオンでは網膜自体の変化が選択てきに描出された。これにより、網膜しわ形成症、偽黄斑円孔などでは、網膜前膜が疾患の主体であり、しわや偽円孔はそれによる二次的な変化であることが、明瞭に観察できた。黄斑円孔はその形成過程に不明な点が多かったが、本法により、その初期段階は網膜のう胞であること、円孔が完成した時点でも視細胞層の一部は円孔底に残存していることがあきらかになった。 5.SLOによるインドシアニングリーン(ICG)を用いた赤外蛍光造影は、従来のビデオカメラによるものより、画像が鮮明であり、造影初期の脈絡膜新生血管の検出にすぐれていた。本法により、ぶどう膜炎における脈絡膜血管の病態が明らかになりつつある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 田中 隆行,他: "走査レーザー検眼鏡による蛍光眼底血球造影" 臨床眼科. 45. 1531-1536 (1991)
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[Publications] 須藤 憲子,田中 隆行,岸 章治: "走査レーザー検眼鏡による眼底の観察" 臨床眼科. 46. 763-770 (1992)
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[Publications] 古沢 信彦,得居 賢二,田中 隆行,村岡 兼光: "走査型レーザー検眼鏡による蛍光眼底造影" 臨床眼科. 46. 893-900 (1992)
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[Publications] 羽鳥 毅,村岡 兼光,田中 隆行,他: "走査レーザー検眼鏡による網膜動脈血流速度の測定" 臨床眼科. 46. 901-907 (1992)
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[Publications] Tanaka T,Muraoka K,Shimizu K: "Fluorescein fundus angiography with scanning laser ophthalomoscope" Ophthalmology. 98. 1824-1829 (1991)
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[Publications] 田中 隆行,須藤 憲子: "走査型レーザー検眼鏡" 眼科. 34. 1449-1459 (1992)