1992 Fiscal Year Annual Research Report
高感度指標を用いた放射線生物作用の磁場による修復の分子機構
Project/Area Number |
04404092
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武部 啓 京都大学, 医学部, 教授 (10028318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 俊彦 京都大学, 医学部, 助手 (10207334)
宮越 順二 京都大学, 医学部, 講師 (70121572)
八木 孝司 京都大学, 医学部, 助教授 (80182301)
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Keywords | 磁場 / fos遺伝子 / 修復 / 二重鎖切断 / アタキシア・テランジェクタシア |
Research Abstract |
目的 高圧送電,核融合炉,リニアモーターカー、核磁気共鳴CT(MRI)など、ヒトが磁場にさらされる機会が増大しつつある。磁場の生体影響の有無は長年にわたって問題となってきたが、何らかの影響があることはほヾ確実と考えられている。それは、当初予期されたDNAへの直接の作用ではなく、その発現、あるいは他の要因によるDNA損傷の修飾である可能性が大きい。基本的には発がんのプロモーション過程の促進が指摘されている。本研究はこれまで検出が困難であった磁場の生体影響を、2つの新しい検出指標の導入によって高感度に検出することを目的とする。第一の指標は、予備的研究で磁場の影響が検出されているfos遺伝子の発現であり、第二の指標はシャトルベクターに組み込んだ遺伝子のDNA二重鎖切断の修復である。 研究経過と成果 本研究室で設計・試作した最大0.5テスラの磁力の発生装置と、そこへヒト培養細胞を長期間ばく露させる装置を用い、ヒト細胞を材料とする実験系が完成した。fos遺伝子の発現をノーザン・ブロッティング法で定量的に調べたところ、0.4テスラで有意に発現の上昇がみられた。一方X線によってはfos遺伝子の発現は促進されなかった。現在X線に高感受性のアタキシア・テランジェクタシア細胞を用いて、X線の作用と磁場の作用の相互関係を、fos,XRCC,myc、ベータアクチン(対照用)各遺伝子について実験中である。DNA二重鎖切断については、制限酵素AvaIによって生じさせた切断の修復能が、正常ヒト細胞とアタキシア・テランジェクタシア細胞で著しく異ることを見出した。本研究は3年計画であり、2年目にはDNA二重鎖切断の修復に対する磁場の影響の研究に重点をおいて進めることを予定している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S. Moriwaki, H.Takebe et al.: "O6-alkylguanine-DNA alkyltransferase activity in human malignant melanoma" Journal of Dermatological Science. 4. 6-10 (1992)
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[Publications] T. Yagi, H. Takebe et al.: "UV-induced base substitution mutations in a shuttle vector plasmid propagated in group Cxeroderma pigmnetosum cells" Mutation Research. 273. 213-220 (1992)
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[Publications] C. Nishigori, H.Takebe et al.: "Accelerated appearance of skin tumors in hairless mice by repeated UV irradiation with initial intese exposure and characterization" Japanese Journal of Cancer Research. 83. 1172-1178 (1992)
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[Publications] S. Moriwaki, H. Takebe et al.: "A case of xeroderma pigmentosum complementaion group F with neurological abnormalities" British Journal of Dermatology. 128. 91-94 (1993)
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[Publications] 武部 啓: "太陽光と遺伝子" 日本皮膚科学会雑誌. 102. 1620-1622 (1992)
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[Publications] S. Wang, J. Miyakoshi, T. Tsukada, H. Takebe et al.: "Activation of c-mos oncogene by an endogenous LTR element integration during transfection of genomic DNA" Oncogene. (993)
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[Publications] A. Shima, H. Takebe et al.: "Frontiers of Photobiology" Elsevier Scientific Publishers, 568 (1993)