1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04451079
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
稲田 孝司 岡山大学, 文学部, 教授 (40135926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富樫 孝志 岡山大学, 文学部, 助手 (40237061)
絹川 一徳 岡山大学, 文学部, 助手 (50204938)
鈴木 茂之 岡山大学, 理学部, 講師 (00183418)
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Keywords | 旧石器時代 / 縄文時代 / 動物化石 / タフォノミー |
Research Abstract |
(1)石灰岩洞穴における動物化石の産状研究については、おもに岡山県北部阿哲台地で実施した。北房町地蔵ケ淵洞穴の試掘調査では、縄文時代晩期の土器・石器・獣骨を検出し、包含層の遺存することを確認した。また厚手の土器の出土があり、より古い時期の包含層も予想できた。分布調査では新たに新見市足見NT第1洞穴を発見し、試掘を実施した。その結果、洞内堆積物中においてきわめて良好な哺乳動物化石の包含層を確認した。化石骨は、ゲッシ類に属する小動物が圧倒的に多いが、シカ・イノシシなどの大型・中型動物の四肢骨なども含まれ、上腕骨と尺骨が関節状態を示す例があった。試掘は小範囲にとどまっているが、化石包含層の厚さは1.5メートル前後と推定できる。人工遺物はまだみられないので化石層の正確な年代は不明であるが、包含層下位に火山灰が含まれることを確認しており、更新世末期に遡る可能性の大きいことが判明した。 (2)瀬戸内海海底の更新世大型哺乳動物化石包含層の探査につては、水中テレビロボット(MITUI・RTV-100)を用い、香川県坂出市小瀬居島周辺および同県内海町大角鼻沖の2カ所で実施した。いずれも従来から漁船により多数の化石骨が引き上げられている地点である。それぞれ2日間、潮流の弱くなる日時をねらい、水深20〜50メートルの範囲で探索を行った。まだ化石骨の確実な発見にまで至っていないが、陸化していた当時の更新世水成堆積層に由来すると思われる砂礫の分布がみられ、今後における作業の継続により、化石骨の埋没状況をとらえうる可能性は大きいと思われる。なお、海底における地形・地質の状況は、ビデオカメラと水中カメラにより撮影・記録した。 (3)淡水成堆積層の動物化石については、長崎県芦辺町でナウマンゾウ臼歯の新資料発見があり、壱岐島の化石産地2カ所の現場踏査を行うとともに、芦辺町資料のクリーニングと樹脂による強化・接合を行った。
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