1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04451101
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Research Institution | Faculty of Law, Niigata University |
Principal Investigator |
多賀 秀敏 新潟大学, 法学部, 教授 (30143746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国谷 知史 新潟大学, 法学部, 教授 (90234468)
大津 浩 新潟大学, 教育学部, 助教授 (10194200)
鯰越 溢弘 新潟大学, 法学部, 教授 (80037085)
成嶋 隆 新潟大学, 法学部, 教授 (90115056)
国武 輝久 新潟大学, 法学部, 教授 (30018113)
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Keywords | 東北アジア / 環日本海 / 地方自治体 / 国際広域圏 / 都市間ネットワーク / 外交権 / 地方主義 |
Research Abstract |
標記の研究の目的は、冷戦構造の崩壊に伴う東北アジア地域の新しい国際交流の担い手である地方自治体に焦点をあわせて、その地域運営にかかわる比較研究と規範的未来予測にあった。この地域の地方単位を、時間軸の上でやや未来に設定して、外向けには、国際社会に対して直接一定の地域を代表する単位としての顔を持ち、内向けにはその一定の地域の社会運営の主体であるという観点から翻って現状を含む分析を行い、地方単位を国際広域圏においてとらえ直す作業を行った。その結果、当該地域に関する地方レベルの社会運営については、各地域間での相違とその流動性とが、かなりあきらかになった。規範的予測については、地方都市間の国境を越えたネットワークが当該国際地域の将来に重要なファクターとなることがわかった。資料・文献収集解読からの成果、専門家聞き取り調査からの結果ともにこのことを示している。 主たる結果のみを示すと、韓国においては、地方自治が法制的にも再開されようとしている段階であり、わが国にあっては、地方分権が声高に叫ばれ、単位そのものの見直しも進行中である。中国では、地方主義は芽生えていても、中央-地方間関係は本質的には従来のような中央主導型である。ロシアでは、国家そのものが問われている。このように各地でさまざまな意味で異なる段階にある地方単位を主体とする国際広域圏を創造するにあたっては、このような体力・体格・体質の相違を相補完するためにも強力で効率的な都市間ネットワークの構築が第一段階の実践的課題として要求される。そのためには、地方自治体の「外交権」の設定が課題となるという結論も引き出された。 主権国家体系の変化を念頭に置きつつ、東アジア国際地域における国際性を有する「地方自治」「地方分権」「地方主義」という概念の間に明確な差異を定義づけることから次の作業が始まる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 多賀秀敏: "地方による国際広域圏の創出" 都市問題(東京市政調査会). 第84巻. 57-70 (1993)
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[Publications] 多賀秀敏: "環日本海的政治学" 竜江社会科学(黒竜江省社会科学院). 総第18期. 31-33 (1993)
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[Publications] 大津 浩: "自治体の国際活動と外交権" 公法研究(日本公法学会). 第55号. 79-94 (1993)
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[Publications] 大津 浩: "自治体外交権" 別冊法学セミナー. 憲法I(3月発行予定). (1994)
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[Publications] 大津 浩: "環日本海圏の自治体間国際協力のための法制度の整備に関する予備的研究" 環日本海論義(新潟大学環日本海研究会). 第4号(3月発行予定). (1994)
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[Publications] 国谷 知史: "中華人民共和国の地方立法-東北3省-" 環日本海論義(新潟大学環日本海研究会). 第4号(3月発行予定). (1994)
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[Publications] 北陸国際問題学会(編): "日本海-対岸をなお隔てるものは何か" 桂書房(勝山敏一), 173 (1993)
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[Publications] 羽貝正美・大津浩(編): "自治体外交の挑戦〜地域の自立から国際交流圏の形成へ〜" 有信堂高文社, 250 (1994)