1993 Fiscal Year Annual Research Report
計画都市の立地決定に至る意志及び経過の歴史地理学的再検討
Project/Area Number |
04451130
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
足利 健亮 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (90026823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 章裕 京都大学, 文学部, 助教授 (60093233)
応地 利明 京都大学, 文学部, 教授 (60024212)
成田 孝三 京都大学, 文学部, 教授 (10047037)
山田 誠 京都大学, 総合人間学部, 教授 (70086172)
青木 伸好 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (30067631)
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Keywords | 江戸の立地選定理由 / 札幌の立地選定理由 / ワシントンの立地選定理由 / 中心地理論と計画 / 計画都市の立地選定 / 都市立地説明手法としての歴史地理 / 歴史地理学と立地選定理由 |
Research Abstract |
都市の立地決定は,計画都市の場合,大別して二つのタイプに分かれる。一つは近代以前に多いタイプで,立地決定が1人の権力者によって為されるものである。もう一つは近・現代に多いタイプで,権力者というよりは為政者の合議によって決定が下される。 後者のタイプは、特に時代が新しいものは立地決定に至る経過が記録に残されていると考えてよいから、それを把握することは容易である。しかし,北海道の諸都市や新大陸の諸都市でも,19世紀以前の計画都市では,はやくも立地決定に至る経過の安全な復原は史料の散逸で困難になっていることが多い。一方,近代以前の計画都市の選地にあっては,多くの場合選地主体者たる権力者の意図が記録に残されることはない(戦略機密なので)から,文献史料による方法で「意図」と「経経過」を解くことは不可能といってよい。 ところが、都市が作られたという事実は地表に,従って地図上に記録されて残り続けてきているから,これを資料として上記設問の解答を引き出すことが可能となる。 徳川家康や織田信長の城と城下町経営の意図,-つまり,安土や江戸をどうして選んだかという問題は,上記の歴史地理学的手法による研究で解答を得ることができた。例えば江戸を徳川家康が選んで自らの権力の基盤都市として作ったのは,不確かな通説とは異なり,富士が見えるという意外な側面の事実を「不死身」と読みかえて,自身の納得できる理由〔選地理由〕としたと説明する方が,明快であることを,研究代表者は明らかにした。その他、各分担研究者によって,北海道の札幌や旭川,アメリカ・ワシントン,カナダ諸都市などを具体的にとりあげて選地理由と経過を明快に説明する研究結果を得た。詳細は,報告書(冊子)に論述された通りである。
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