1993 Fiscal Year Annual Research Report
精神遅滞児の総合的診断システムとそれに基づく指導法の開発
Project/Area Number |
04451144
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大塚 明敏 金沢大学, 教育学部, 教授 (60168987)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細渕 富夫 長野大学, 産業社会学部, 助教授 (10199507)
国分 充 金沢大学, 教育学部, 助教授 (40205365)
片桐 和雄 金沢大学, 教育学部, 教授 (00004119)
|
Keywords | 精神遅滞児 / 眼球運動 / 身体動揺 / 行動調整能力 / 授業分析 |
Research Abstract |
教育診断法の項目の検討のため、感覚系・運動系・言語系の3側面に関する測定評価を昨年度に引き続き行った。感覚系は、視覚系のうちの眼球運動機能の検討を継続した。その結果、反射的な眼球運動である視運動性眼振について、精神遅滞児では、健常児や成人と比較して周辺視野刺激に対する定位が十分でなく、また追跡可能な速度が低いことがわかった。また、随意的な眼球運動である追従性眼球運動及び衝動性眼球運動の測定も行い、反射的な眼球運動に見られるのと同様の問題が精神遅滞児に存することがわかった。運動系は、直立姿勢について身体動揺を指標としてその能力を調べた。その結果、精神遅滞児は一般に動揺が大きく、それが日常的なバランス運動との問題と結びついていることが示された。また、精神遅滞児には、視覚情報を身体動揺のコントロールに適切に用いることができない者が少なくないことが明らかとなった。言語系については、言語の3大機能のひとつである行動調整機能を調べた。その結果、精神遅滞児の行動調整機能の障害は単に言語の問題として顕在化するにとどまらず、感覚系や運動系の問題とも密接に関連していることが示された。言語系は、言語の行動調整機能を調べた。その結果、精神遅滞児で言語の行動調整機能に障害を有する者では、言語面に問題をもつことはもちろんのこと、さらにそれが感覚系や運動系の問題とも密接に関連していることが示された。また、こうした者に対しては、なすべき行動を直観的・外的に示す物が存在する状況で指導を行うことが有効であることがわかった。以上の測定評価に基づく指導法の開発のために、指導が実際には授業で行われることが主であるため、実際の授業場面での教師と子どものやり取りのダイナミズムを知るため、小型ビデオカメラを子ども及び教師の頭部に取りつけ、その画像を解析することにより検討した。
|