Research Abstract |
生活科とは,遊びとは,(自己,自然,社会)認識形成とは何か,遊びにおける認識とは何か,どのように観察によって確認できるかなどの理論的研究と平行して,生活科における遊びの指導の実態の文献・報告資料および見学ビデオによる資料の収集・分析を行なってきた。生活科における遊びだけでなく,総合学習(伊那小)・遊び科(成城小)・生活勉強(和光小)などの教科における遊びも比較研究の対象とした。 この間に二側面の理論問題が明らかになってきた。第一は,遊びの本質と矛盾しない遊びにおける指導性とは何か,という問題である。 第二の問題は,遊びと認識形成との関わりの問題である。遊びの本質に則して,遊びの中で形成されている認識を観察しとらえることは簡単でなはい。この遊びにおける認識活動については,磁石遊びの研究事例によって,科学的概念形成以前の真偽とり混ぜた,また個体によってレベルの異なる遊び体験(自由試行,Mesing About-Howkins,D)それ自体の意義が論議された。しかし,認識一般の問題は残った。 研究経過一年の現在,さらに幼児教育の研究成果に示唆を得て,遊びにおける指導と認識(自然,社会)の二側面の研究について,我々は次のような研究仮説を立てるに至っている。 遊びの指導は遊びの本質に則したものであることを前提に, 1遊びの成立諸条件(遊び場・手段・仲間;指導)が,遊びの本質的過程(楽しい,自己目的,「自由」)を規定する。 2遊び過程は,その過程の構成要素としての身体的,社会的,知的効果を規定する。知的効果は,(1)遊び場・手段・仲間についての「知識」,(2)遊び行動に適用される「知能」(客観的因果,目的因果の認知構造)の形成に関わるものである。(「知識」「知能」概念は,カミイによる。)2の解明が,今年度の中心的課題となる。
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