1993 Fiscal Year Annual Research Report
摩耗進行曲線と摩耗の速度特性の相互関係に関する研究
Project/Area Number |
04452135
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
笹田 直 千葉工業大学, 工学部, 教授 (60016300)
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Keywords | 摩耗 / 摩耗進行曲線 / 摩耗の速度特性 / シビアー摩耗 / マイルド摩耗 / 酸化 |
Research Abstract |
前年度に引き続きFe/Fe,Cu/Fe,Ni/Fe純金属組合せにおいて摩擦距離に対する摩耗量の関係(摩耗進行曲線)を10〜10^4mm/sの摩擦速度域で求めた。それと同時に、各条件下において作られた摩擦面ならびに生じた摩耗粉のEPMA分析を行なった。その結果、以下の事実が判明した。 1)乾燥摩擦における金属の凝着摩耗はつぎの2つの形態に分類することが出来る。シビアー摩耗とマイルド摩耗である。前者は大型金属様の摩耗粉を生じ、その摩耗率は大で、摩擦の初期に現れる。すなわちいわゆる初期摩耗といわれるものはこのシビアー摩耗である。後者は酸化された微粉末の摩耗粉を生じ、その摩耗率は小で、初期摩耗が終わったのち、いわゆる定常摩耗として現れる。シビアー・マイルド摩耗のそれぞれの摩耗率は低摩擦速度の場合、数百倍に及ぶ。 2)摩擦速度の上昇とともに、シビアー摩耗率は徐々に低下する。一方マイルド摩耗率はほとんど変化しない。そして速度上昇にともなってシビアー・マイルド摩耗遷移は遅れる。このためある摩擦距離で計った摩耗量は摩擦速度の上昇とともに初め増加し、ある速度以後からは降下し、従来経験的に知られた摩耗量速度特性の山を作る。したがってこの山の位置は摩擦距離の選択により変化する。 3)この山をこえてさらに高速の領域では、全摩擦距離にわたって常にシビアー摩耗であるが、その摩耗率はさらに低下し続ける。それとともにシビアー摩耗でありながら、摩擦熱のため摩擦面・摩耗粉の酸化がみられ、ついにある速度に到るとマイルド摩耗のごとき低摩耗率に達し、摩耗量の速度特性にたにを形成する。谷の以後この第2マイルド摩耗を定常摩耗とする第2シイビアー初期摩耗が新たに出現し、以後再び摩耗量は増大し、第2の山を作る。 4)各速度域で現れるマイルド摩耗は特有の酸化物を伴う。低速でFe_2O_3,次にFe_3O_4,更にはFeOである。高速になるに従って酸素不足型の金属酸化物の摩耗粉を生じ、このため速度特性に複数の山谷を画く。
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[Publications] K.Hiratsuka: "Wear of metals in a magnrtic field" Wear. 160. 119-123 (1993)
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[Publications] T.Sasada: "Effect of envirommental chemical condition on the surface damage in Hertzian contact region under oscillating normal loadings." Proc.36^<th> Jpn.Congr.Materials Research. 93-97 (1993)
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[Publications] 笹田 直: "雰囲気と摩耗" 精密工学会誌. 59. 192-195 (1993)
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[Publications] T.Nakano: "Conditions of polymer formation during friction." Jpn.J.of Tribology. 38. 345-356 (1993)
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[Publications] 笹田 直: "金属の巡り摩耗に対する雰囲気温度の影響" 千葉工業大学研究報告・理工編. No.41. 33-47 (1994)
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[Publications] T.Sasada: "Wear toxicity of biomaterials" Proc.37^<th> Jpn.Congr.Materials Research. 226-228 (1994)