1993 Fiscal Year Annual Research Report
日本と韓国・中国における環境観の比較〜空間言語・地形名から見た自然観・世界観〜
Project/Area Number |
04452261
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (90195967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 鎮明 神戸大学, 文化学研究科, 助手 (60252748)
鈴木 成文 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (60010667)
伊藤 延男 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (40124193)
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Keywords | 空間言語 / 地形名 / モンスーンアジア / 環境観 / 韓国語 / 中国語 |
Research Abstract |
昨年度までに行った朝鮮語・中国語の空間言語の抽出と整理を基礎として、データベース化を行い、また語彙数、環境認識の粗密等に関する分析を進めた。 特に昨年度までに行った朝鮮語についてはより深い分析を進めた。「朝鮮語大辞典」(大阪外大朝鮮語研究室編,角川書店,1986)により抽出・整理したが、日本語と比較した際、認識が密な部分を明らかにするため、【.encircled1.】日本語で表した場合に形容詞を一つ以上用いないと表現できないもの、【.encircled2.】一つの日本語に多数の韓国語が対応しているものに注目し、考察を加えた。 少数の日本語に多数の韓国語が対応している例としては、山のいただき、みね、山の背、谷や谷間、深山、深くて険しい谷間、草地、広い野原があげられた。これらは少数の日本語に5つ以上の韓国語が対応しているものである。また、韓国語で表された地形が、日本語では余分に形容詞を使わないと表せない例としては、「尾根の最も高いところ」を示す「〓〓〓〓〓」、「山に取り囲まれているところ」を意味する「〓〓」などがあげられ、特に山の背や山に囲まれた谷のような地形への認識の深さを示している。韓国語は、日本語と比して、山のいただきからふもと、山に囲まれた地形に関して語彙数が多く、その語の指し示す地形も、日本語に比べきめ細やかで、それらの地形に関する認識の深さが推測される。山に囲まれた地形については、朝鮮時代の隠棲思想や十勝地などの兵乱を避けて隠れ住む思想との関連が、山頂や峯の語彙数の多さについては、山岳信仰や風水説との関連が推測される また昨年度は中日大辞典(愛知大学・大修館書店)を用いて中国語(普通語)の空間言語(地形名)の抽出を行っていたが、中国語(普通語)のカバーする地域が非常に大きく、対応する自然環境の把握が難しいと思われるため、中国語のうち、400年以上台湾という地域的に把握しやすい地域で使用されており、台湾総督府の『台湾語辞典』の復刻が行われ、資料的にも扱いやすい台湾語を取り上げ、資料を収集すると共に、空間言語(地形名)の抽出・整理を行った。
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