1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04452284
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
市野瀬 英喜 東京大学, 工学部, 助手 (30159842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳満 和人 東京大学, 工学部, 助手 (20180143)
森 実 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30134646)
石田 洋一 東京大学, 工学部, 教授 (60013108)
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Keywords | C_<60> / HREM / STM / 界面 / 超微粒子 |
Research Abstract |
C60結晶は塑性変形に必要な応力は通常の金属より小さく、すべり系もVon Misesの条件を満たしており加工性には問題がない。しかし、ファンデルワールス結合性結晶のため凝集エネルギーが低く、延展性に富んでいるとはいえない。そこでこの材料のもろさを補い、低密度であることも生かすために、複合材料のマトリックスとして利用することを考えた。最終年度である本年度は、STM観察によって、金属基盤(Au)上に堆積させたC60薄膜は安定界面を形成することを明らかにしたことから、Au/C60複合体を作製し、その組織学的検討並びに力学的性質について検討を行った。その結果、Au微粒子とC60ナノ結晶の複合体では、C60のみの成形体に比べ成形性の向上が認められた。これはC60ナノ結晶マトリックス中に分散しているAu粒子によるC60ナノ結晶の接着効果によるものと思われた。また、作製したAu/C60複合体について応力-歪曲線の測定を試みた。今回の測定では弾性領域、降伏点とも見いだすことはできなかった。これは複合体とした場合でも弾性領域が非常に小さく、変形初期からC60ナノ結晶体の粒界すべりが起こっているためと考えられた。さらにビッカース硬さ試験を行ったところ、Au微粒子はC60マトリックス中に均一に分散しているものの、硬さの上昇はほとんど認められないという結果を得た。この結果から、球形で表面積の小さいAu微粒子とC60の粒界はC60-C60粒界に比べ非常に少なく、したがって、Au微粒子/C60ナノ結晶体の塑性変形に対してはC60ナノ結晶の粒界によるすべり変形が支配的となることが考えられた。
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