1994 Fiscal Year Annual Research Report
振動反応・パターン形成を主題とする理科教育・科学教育の教材開発とシステム化
Project/Area Number |
04453169
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
松村 竹子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (60031556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 聡 奈良教育大学, 教育学部, 助手 (50217741)
松山 豊樹 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (70202330)
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Keywords | 振動反応 / パターン形成 / ルテニウム錯体 / B-Z反応 / 塩水振動子 |
Research Abstract |
1.振動反応 振動反応は、科学教育を活性化するのに優れた教材である。しかしながら、導入としての面白さの次にどのように実験を構成していくかについての詳しい検討はまだ少ない。今年度の研究では、B-Z反応の物理的、化学的制御因子、塩水振動子、振動する化学反応の力学的モデルについて検討した。B-Z反応の制御因子として、光が最近注目されてきた。これは触媒として、光感受性のルテニウム錯体が広く用いられるようになって、振動の光変調現象が明らかになったためである。15EA03:(1)松村はB-Z反応の化学成分の初期濃度を種々変化させて、光照射下と非照射下で反応を追跡し、光変調に対する化学的制御因子を検討した。また、非照射下の振動に対する中間生成物の寄与を明らかにするために、中間生成物の臭化マロン酸を合成し、反応初期から共存させたり、生成する臭素を抽出によって系外に取り除いたりして振動挙動を調べた。この結果、臭化マロン酸の共存下では周期の長い、振幅の大きい振動が生じることが分った。これらの振動挙動は光照射によって振動が遅延するときの様子と良く似ており、光照射下では中間生成種の臭下マロン酸濃度が増大していると考えられる。 (2)中田は塩水振動子の教材化について、小学校で学ぶ食塩が水に溶けるの様子の観察から発展させて、振動の共鳴や引き込み等、外部からの反応条件のコントロールによって明らかになる非線形現象についての基礎研究を行なった。 (3)松山はこのような化学振動反応研系の力学的モデルについて、B-Z反応の基本モデルであるオレゴネーターモデルを用いて、その力学的数理構造を明らかにして、大学教育のテキスト教材を作成した。 2.パターン形成 身近な素材を形の形成過程や構造に着目して観察し、さまざまなヒントを提供した。とくに結晶と結晶過程について、自然に生ずる結晶、簡単な結晶作成法の教材提示を行なった。 このように、今年度の研究では、教材化にとって必要な基礎的な研究を行ない実験授業に用いて教材としての評価を検討した。これらの結果を成果報告書に纏めた。
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[Publications] 竹田浩一: "きれいな結晶を作ろう" 化学と教育. 42. 639-640 (1994)
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[Publications] T.Matsumura-Inoue: "A Remarkable Rapid Synthesis of Ruthenium(II)Polypiridine Complexes by Micro Wave Irradiation" Chem.Lett.2443-2446 (1994)
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[Publications] Y,Kato: "Nonlinear dynamics in semiconductor exposed to gas species.Chemical sensing and chaos,Toward the Harnessing of Chaos." Toward the Harnessing of Chaos. 369-372 (1994)
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[Publications] 森義仁: "非線形現象" 産業図書. 0-182 (1994)
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[Publications] C.D.Fosco: "The polynomial formation of the U(1)non-linear model in 2 dimensions" Physics Letters. B329. 233-240 (1994)
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[Publications] C.D.Fosco: "The ladder approximation in QED_2" Physics Letters. B328. 513-521 (1994)