1993 Fiscal Year Annual Research Report
兎から新しく分離したカリキウイルスの性状,増殖過程並びに病原性に関する研究
Project/Area Number |
04454112
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
板倉 智敏 北海道大学, 獣医学部, 教授 (30021695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 謙爾 北海道大学, 獣医学部, 講師 (80214162)
喜田 宏 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10109506)
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Keywords | カリキウイルス / 兎の出血病 / ウイルス抗原 / 免疫染色 / ウイルス粒子 |
Research Abstract |
1.宿主内における兎の出血病(RHD)ウイルス抗原の検出 RHDウイルス抗原検出を目的に、blockingのためには正常兎血清を、第1抗体としてはビオチン化抗RHDウイルスIgG抗体を用い、ABC直接法による免疫染色を行った。検索標本としては、RHDに感染したホルマリン固定のパラフィン切片と凍結切片を用いた。その結果、両切片にRHDウイルス抗原を特異的に染色することができた。抗原は肝細胞の細胞質に顆粒状に認められ、本抗原は肝細胞の変性・壊死巣に一致して検出できた。肝以外では、抗原は脾の血管内皮とマクロファージに認められ、他の臓器・組織には認められなかった。よってRHDウイルスは、肝細胞親和性であることが確認された。 2.RHD発病への免疫学的機序の係り RHDを耐過した兎に免疫抑制剤であるデキサメサゾンを投与したが、発病はなかった。また、若齢の兎が発病しないことに着目し、若齢の兎にデキサメサゾンをあらかじめ投与し、次いでRHDウイルスを接種したが、これも発病しなかった。一方、若齢の兎にRHDウイルスのみを接種したが、発病はしないものの、肝には小型の変性・壊死と、リンパ球浸潤巣が散見された。よって本病の感受性には、肝細胞のレセプターが問題となるのかも知れない。 3.中国で発生したRHDの原因ウイルス RHD発祥の地中国から、RHD感染兎肝乳剤を入手し、これを出発材料としてウイルス学的ならびに病理学的検索を行った。その結果、中国由来のウイルス株の諸性状と病原性は、韓国由来のウイルス株と全く同一であった。よって世界的に流行したRHDの原因ウイルスは、カリキウイルスと断定される。 4.その他 RHDウイルスの兎以外への感受性動物ならびに組織培養細胞株を検討したが、不成功に終わった。
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Research Products
(1 results)