1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454217
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 美恵子 京都大学, 医学部, 助教授 (60025658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平池 秀和 鈴鹿医療技術大学, 教授
増田 徹 京都大学, 医学部, 助教授 (00027319)
横井 克彦 京都大学, 医学部, 助手 (10200883)
糸川 嘉則 京都大学, 医学部, 教授 (80025593)
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Keywords | マグネシウム欠乏 / 免疫 / 脾細胞 / マクロファージ / マイトジェン / サイトカイン |
Research Abstract |
成人病は個人の食生活の影響がもっとも大きいと考えられるが、近年、癌や感染症の発症も個人の栄養状態に依存するところが多いことが明らかにされつつあり、栄養と免疫能との関連が注目されるようになってきた。我々は、マグネシウム(Mg)栄養、特にMg欠乏が心疾患、脂質代謝異常、ビタミンB1欠乏、各種ミネラルアンバランスカテコールアミンやセロトニンの代謝異常など多くの重大な健康障害をもたらすことを明らかにした。また、大規模な日本人のMgの摂取量調査も併せ実施、増加しつづけている心疾患と欧米化しててきた食生活とMgの豊富な魚介類や野菜類の摂取不足の関係を警告し、1日あたり300mgのMg推奨量の設定に寄与した。 本年度の研究では、Mg欠乏の動物における著明な脾臓、胸腺の肥大やリンパ球の増加に注目、Mg欠乏と免疫能の関連について検討した。(1)5週齢雄ラットを最も純度の高い試薬を用いて作製したMg欠乏飼料と正常飼料にて飼育した。その際、欠乏動物作製のためによりよい環境条件を整えるため、平成元年度の試験研究(B)の交付をうけ作成した除塵動物飼育システムを用いた。飼育1または2週間後、これらラットから脾細胞及び膜くうマクロファージ(Mphi)を採取、実験に供した。脾細胞はマイトジェン(ConA,LPS)刺激による幼若化反応及びサイトカイン(IL-2,IL-3)活性、膜くうMphiはIL-1,IL-6を測定した。(2)本Mg欠乏飼料飼育後1週間でMg欠乏症状が認められるより精度の高いMg欠乏動物が作成出来た。(3)脾細胞のConAに対する幼若化能は飼育1週間のMg欠乏により顕著に低下したが、2週間目では、その反応性に回復傾向が認められた。LPSに対する反応性にはMg欠乏により大きい変化は認められなかった。(4)Mg欠乏群では、脾細胞のサイトカイン産生能は、IL-2値、Mphiのサイトカイン産生能はIL-1、L-6ともに高値の傾向が認められた。(5)脾T細胞及びMphiの相互作用をみると、T細胞自体はMg欠乏により大きな影響は認められたかったが、Mg欠乏群のMphiではConAに対する反応性を補助する能力が低下していた。 以下の結果から、Mg欠乏ラットのMphiではIL-1,IL-6は正常の産生されているが、抗原提示機能が低下していることが示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K.Yokoi,M.Kimura,Y.Itokawa: "Effect of dietary iron deficiency on mineral levels in tissues of rat." Biol Trace Elem Res. 29. 257-265 (1991)
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[Publications] K.Yokoi,M.Kimura,Y.Itokawa: "Determination of nonheme iron using inductively coupled palsma-atomic emission spectrometry" Biol Trace Elem Res. 31. 265-279 (1991)
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[Publications] 木村 美恵子,横井 克彦 糸川 嘉則: "マグネシウム欠乏ラットの生体内ミネラルバランスに及ぼす鉄摂取量の影響" マグネシウム(JJSMgR). 10. 19-27 (1991)
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[Publications] 木村 美恵子,横井 克彦 朱 宗健,糸川 嘉則: "ストレスの栄養条件(カルシウムおよびマグネシウム欠乏)による修飾" Therapeutic Reserch. 9. 2759-2773 (1991)
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[Publications] 木村 美恵子,横井 克彦 早瀬 稔,糸川 嘉則: "鉄摂取量の違いによるマグネシウム欠乏ラットの血清生化学性状の変化" マグネシウム(JJSMgR). 11. 19-29 (1992)
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[Publications] 藤沢 由美子,坂本 元子 増田 徹,木村 美恵子 糸川 嘉則: "マグネシウム欠乏ラットにおける細胞性免疫因子の変動" 第47回日本栄養食糧学会抄録. (1993)
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[Publications] 木村 美恵子 訳(木村 修一,小林修平 監修): "最新栄養学ーマグネシウムー" 健帛社, (1991)
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[Publications] 木村 美恵子(梅井 弘,田中 英彦 編集): "生体微量元素ーマグネシウムー" 広川書店, (1993)