1993 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞隔炎病巣から分離したヒト・レトロウイルスの特性とその病因的意義の解析
Project/Area Number |
04454254
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉良 枝郎 順天堂大学, 医学部, 教授 (20095011)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 尚亮 順天堂大学, 医学部, 講師 (10188435)
貫和 敏博 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40129036)
|
Keywords | 間質性肺炎 / C型レトロウイルス粒子 / 気管支肺胞洗浄液細胞 / 逆転写酵素活性 / 合胞体細胞 |
Research Abstract |
前年度同様に、間質性肺炎症例の気管支肺飽洗浄液(BALF)細胞とU937細胞との長期混合培養によって作成したウイルス感染細胞株培養上清を用いた原因ウイルス遺伝子のcDNAクローニングを続けた。更に、患者BALF細胞より分離したRNAを用いたcDNAクローニングも開始した。その際には、ウイルス感染U937細胞から抽出したRNAをポジティブプローブとし、正常U937細胞から抽出したRNAをネガティブプローブとして用い、ポジティブプローブのみに反応したクローンを選択するsubtruction cloning法を用いた。この様な方法により、現在までに約10個のクローンが得られている。しかし、当然の事ながらこれらのクローンには標的ウイルス遺伝子以外のものが含まれている可能性も高いため、二次スクリーニング含めた解析を続けている。 本年度は、更にウイルス感染細胞株を標的とした間接蛍光抗体法を用いて、血清中の本ウイルスに対する抗体価のスクリーニングを各種症例(全134例)について行った。80倍希釈以上で陽性を示した頻度は、間質性肺炎26%(7/26例)、サルコイドーシス14%(4/29例)、膠原病18%(3/17例)、肺癌0%(0/13例)、その他の肺疾患10%(1/10例)、健常対照者5%(2/39例)であり、全体では134例中17例(12%)が陽性であった。sensitivityならびにspecificityを高めるための方法としては、今後感染U937細胞から分離精製した蛋白抗原を用いたウェスタンブロット法等について検討する必要があると考えられる。しかし、間質性肺疾患症例の約20%に本ウイルスに対する抗体価が存在すると考えられる今回の結果は、本ウイルスが各種間質性肺炎発症に広く関与している可能性を示唆するものと考えられる。
|
Research Products
(1 results)