1994 Fiscal Year Annual Research Report
進行性神経芽、細胞腫に対する自家骨髄移植を導入した集学的治療に関する研究
Project/Area Number |
04454283
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
麦島 秀雄 日本大学, 医学部, 講師 (80183648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 孝 日本大学, 医学部, 助手
藤沢 孝人 日本大学, 医学部, 助手 (90256842)
佐貫 栄一 日本大学, 医学部, 講師 (50142500)
岩田 光正 日本大学, 医学部, 講師 (60160123)
岡部 郁夫 日本大学, 医学部, 教授 (20059017)
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Keywords | 進行性神経芽腫 / 自家骨髄移植 / 成長発育 / 内分泌機能 / trk-A / 嶋田分類 |
Research Abstract |
(1)移植時年齢1.8歳から6.5歳(平均3.5歳)、診断から移植までの期間は平均10か月の進行性神経芽腫で追跡可能であつた20例を対象に化学放射線療法の影響をみるために身長ならびに内分泌機能について検討した。自家骨髄移植の前処理はVP-16,CDDP,L-PAMの及び13例はTBIを10-12Gy/3f施行した。内分泌学的検索は、インスリン、TRH,LH-RH負荷試験、睡眠中GH,血中ソマトメジンCを甲状腺機能としては、血中T_<3.>T_<4.>FreeT_<4,>を、また移植前後の成長については全例測定した。その結果、(1)インスリン刺激によるGH分泌はほぼ正常であったが、睡眠中のGH分泌は半数が不良であった。血中のソマトメジンCは正常範囲内であった。(2)血中のT_<3.>T_<4.>FreeT_<4.>は正常範囲内であった。TRH負荷試験ではTSHの分泌過剰を示す例が2例、低反応が3例みられた。(3)血中LH,FSHの基礎値はほぼ正常範囲であった。(4)身長発達は移植後一時的に伸びが低下する傾向が見られたが、移植後1年後は良好であった。身長に関しては、TBIを行った患児と行わなかった患児との間に有意差はなかった。 (2)今回神経芽腫株を用い、NGF/NGF receptorのシグナル伝達を検討する予定であったが欧米ですでに行われている為、本症の予後を知る上で重要であるtrk-Aの発現の有無と病理組織学的分類(嶋田分類)との関連について米国CCSGより提供された未治療の80症例の組織を用い検討した結果、(1)trk-Aを発現している腫瘍は、分化傾向にある。(2)trk-A発現群に属する腫瘍のうち、発生年齢が1.5歳以下のものは病理学的に非分化型にとどまる傾向にあり、その予後は良好である。これはNGF receptor以外の異常によるものと思われる。(3)trk-A,mRNAを発現していない腫瘍は病理学的にも分化傾向が見られず、その予後は極めて悪い。以上より神経芽腫においてtrk-Aの発現を検討することは、その予後を知る上で極めて重要であり、また嶋田分類を同時に行うことにより、より正確な予後判定が可能になると思われた。今後、少量の生検組織からも発現検出可能な、RT-PCRを用いた診断システムの確立が必要である。
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