1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454352
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00142183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増澤 徹 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (40199691)
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (60155752)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (60028595)
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Keywords | 人工肺 / 血液ポンプ / 重症心肺不全 / 動物実験 / 心肺置換 / ヘパリン化 / 肺代謝機能 / プロスタグランディン |
Research Abstract |
重症心肺不全モデルを用いて、表面をヘパリン化処理した人工肺と抗血栓性に優れた血液ポンプを組合わせたシステムで人工心肺機能を代替することで、システムの評価と管理法を検討した。成山羊6頭(体重23-36kg)を用い、自然心肺完全切除モデル(A群、n=3)では、上記のシステムで上・下大静脈脱血、上行大動脈送血の完全心肺バイパスを設立した後、自然心肺を全切除した。完全心肺バイパスモデル(B群、n=3)では、先ず補助人工心臓による両心バイパスを作成し、2週間後覚醒下で上記システムを用いた完全心肺バイパスに移行した。肺動脈幹をバルーンで閉塞して100%バイパスとしたが、気管支動脈血流は残存した。実験中のポンプ流量は、A群で111±14m1/kg/min(術前拍出量:103±13m1/kg/min)、B群で124±20m1/kg/min(同134±31m1/kg/min)であった。平均大動脈圧は前値から置換2時間後にかけて、A群では101±12から83±21mmHgと、またB群でも99±14から74±15mmHgへと低下した。本来自然肺で代謝を受けるべきホルモンであるPGE2の血中濃度の上昇を両群で認めた。前値から2時間後の血中濃度の変化がA群で10.2±6.0から190.7±237.0pg/ml、B群では4.2±3.1から14.9±7.9pg/mlと、A群で著明であった。A群では全例に腎不全、中枢神経障害を認めたが、B群では著変を認めなかった。生存時間はA群では40±32時間で、B群では18時間後事故により死亡した1例を含めて124±183時間であった。使用時間は依然限られているものの、実験システムは良好な抗血栓性と循環維持能力を示した。自然心肺の完全切除で液性調節因子の一部に著明な変動を認めた。また、平均大動脈圧の低下、腎機能の増悪等の生体反応が観察された。これらの点から、システムの開発以外に、肺機能の代替の場合には、肺の代謝機能にも注目すべきで、患者管理上、適切な薬物療法などを併用する必要性が明らかとなった。
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