1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454363
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Research Institution | SAGA MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
田渕 和雄 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50116480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 俊一 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (30253610)
福山 幸三 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60238516)
白石 哲也 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (70206275)
阿部 雅光 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (20136427)
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Keywords | 脳腫瘍 / 神経膠腫 / 癌抑制遺伝子 / p53 / DNA診断 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究では、特に神経膠腫(グリオーマ)における癌抑制遺伝子p53の変異の有無を解析した。先ず検索した7種のヒト培養グリオーマ細胞の全てに異常なp53の発現が認められた。しかもp53の発現の程度には個々の細胞株間で相違が見られた。 解析の結果、こうしたp53の異常は発現はp53遺伝子の変異に起因することが明らかとなった。また検索した50症例の脳腫瘍組織のなかで、星細胞腫の8例中3例(38%)、膠芽腫の16例中5例(31%)においてp53遺伝子に点突然変異が認められた。しかし、塩基配列の検索から、これらの変異部位は個々の膠腫間で異なつていることが判明した。このように、比較的増殖の緩やかな星細胞腫と増殖の速い膠芽腫でも、p53遺伝子の変異率がほぼ同じ程度であることは、p53遺伝子の変異が神経膠腫の発生に関与する必要条件のひとつではあるが、それ以外にもいくつかの重要な因子が存在することを示唆するものである。一方、遺伝子治療の際の効率よい発現ベクターを開発する目的で、GFAPプロモーター領域の近傍、転写開始点より上流1980-1500base間でグリア細胞に特異的なエンハンサー配列を見出した。このエンハンサー配列を2個あるいは4個タンデムに繋いだコンストラクトでは、遺伝子の発現が4-5倍増強されるというCATアッセイの結果を得た。このことは、将来、中枢神経系に導入された遺伝子の特異的発現と制御とを目指す上で重要な手がかりのひとつになると思われる。
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[Publications] 田渕和雄: "神経膠腫の癌遺伝子と癌抑制遺伝子" 医学のあゆみ. 161. 420 (1992)
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[Publications] Tabuchi.K.: "Altered structure and expression of the p53 gene in human neuroepithelial tumors." Neurol.Med.Chir.32. 725-732 (1992)
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[Publications] 田渕和雄: "脳腫瘍の分子生物学的特性" 脳神経外科. 21. 677-696 (1993)
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[Publications] 田渕和雄: "脳腫瘍の遺伝子治療-現況と展望-" 脳神経外科. 22. 803-809 (1994)
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[Publications] 田渕和雄: "脳腫瘍のDNA診断と遺伝子治療-研究の現況と展望-" 癌の臨床. 40. 1031-1042 (1994)
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[Publications] Kihara.S.: "Induced expression and subcellular localization of the Bc1-2 protein in cultured glioma cells" Brain Tumor Pathology. 11. 161-167 (1994)