1994 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーによる体内細菌壁の選択的破壊(主に骨髄炎,関節内細菌感染に対して)
Project/Area Number |
04454371
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 裕輔 東京大学, 医学部(医), 助手 (90193010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 浩一 大阪医科大学, 助教授 (30170806)
満渕 邦彦 先端科学技術研究センター, 助教授 (50192349)
鎮西 恒雄 東京大学, 医学部, 助手 (20197643)
井街 宏 東京大学, 医学部, 教授 (10010076)
藤正 巌 先端科学技術研究センター, 教授 (30010028)
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Keywords | MRSA / レーザー / 色素 / 殺菌 |
Research Abstract |
材料と方法:1.細菌:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の臨床株を使用した。2.殺菌効果のあったアルゴンレーザーを使用し、石英ファイバーによる導光にて非接触照射を行った。実験は、前年度に実施した菌体のみと色素処理細菌へのレーザー照射の結果(色素処理菌体では1分間のArレーザー照射から増殖阻止円を認め、照射時間の増加にともない阻止円は明瞭になった。しかし、アルゴンレーザーでは色素の存在に関係なく殺菌効果を示しており、色素は殺菌効果を強調していることが確認された)より、アルゴンレーザーの細菌破壊機序の解明を中心に進めた。a.透過型電子顕微鏡(TEM)による観察から、細胞内物質の破壊が早期に生じることが確認された。このことは、アクリジンオレンジによる蛍光の発光がレーザー照射後に減少することから、細胞内物質の機能破壊が生じているという結果と一致した。この際、細菌壁の破壊は明らかには認められなかった。b.紫外線による細菌破壊と熱による細菌破壊のTEM像と比較した結果は両者の特徴を備えていた。c.細菌内物質のDNAに着目し、制限酵素などを用いて電気泳導による解析を現在行っているところであるが、現段階ではDNA以外の細菌内の蛋白破壊を示唆する結果が得られている。d.アルゴンレーザーによるMRSAの破壊が普遍的なものであることを証明するために5例の臨床株にレーザー照射し、殺菌効果を確認した。また、緑膿菌ではMRSAより短時間に細菌破壊が生じることが確認された。 以上の結果を踏まえ、今後、色素の開発を行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 米沢卓実: "レーザーによる細菌壁の選択的破壊" レーザー学術講演会第14回年次大会予稿集. 283- (1994)
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[Publications] 米沢卓実: "レーザーによる細菌壁の破壊" 医用電子と生体工学. 32(特別号). 483- (1994)
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[Publications] 米沢卓実: "MRSAによる化膿性疾患のレーザー治療法確立のための戦略" 日本レーザー医学会誌. 15. 63-66 (1994)
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[Publications] 岡崎辰也: "アルゴンレーザーと色素による細菌破壊" 第15回日本レーザー医学会大会 大会論文集. (印刷中). (1994)