1994 Fiscal Year Annual Research Report
加齢過程における末梢神経の形態学的・生化学的・生体力学的変化についての確定
Project/Area Number |
04454379
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
平澤 泰介 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (40079851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 信朗 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10226730)
玉井 和夫 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (80227256)
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Keywords | 腕神経叢 / アクリル樹脂注入法 / 微細血管鋳型標本 / 走査電子顕微鏡 / 外血管系 / 内血管系 |
Research Abstract |
【方法】体重約5kgの成ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)5頭を用い、上行大動脈よりカニューレを挿入し、Ohtaらの方法(1990)によりアクリル樹脂を注入した。樹脂硬化後5%NaOH溶液で軟組織を腐蝕した後、凍結乾燥を行い微細血管鋳型標本を作成し、実体顕微鏡で脳神経叢への血液供給動脈を観察した。さらに細部を検討する目的で、イオンスパッタリング法により金蒸着を行い、(A)前斜角筋より近位の頚神経根部、(B)腕神経叢部、(C)小胸筋より遠位の末梢神経部の3つの部位に分けて捜査電子顕微鏡(JSM,T-300)で各々の神経束の内・外血管系について観察を行った。 【結果】実体顕微鏡による観察所見として、鎖骨下動脈より腕神経叢に直接供給される栄養動脈は認めなかった。腕神経叢の近位部で上行頚動脈より各神経幹に沿って1〜2本の伴走動脈が分岐し、遠位部では上腕動脈より反回して登る伴走動脈により供給を受けていた。鎖骨の深層で両方の伴走動脈が径を細めながら吻合していたが、その血管分布は粗であった。また微細血管鋳型標本の捜査電顕所見として、神経根部の外血管系は、口径が細く神経周膜で互いに吻合して不規則な網目を形成していた。一方、内血管系の毛細血管は口径が太く緩やかなラセンを描きながら長軸方向に走行し互いに吻合して粗い網目を形成していた。脳神経叢部の外血管系は非常に粗い網目形態を形成していたのに対し、内血管系の毛細血管は神経線維に沿って蛇行し、他の部位と比較して互いに多くの吻合を形成し叢状形態を呈していた。また末梢神経部の外血管系では、口径の異なる毛細血管が吻合し細かい網目を形成し、内血管系の毛細血管も神経線維に沿って強いラセンを描きながら隣接のものと吻合していた。
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