1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内伝達機構からみた妊娠中毒症の発症と病態ーその分子生物学的解析ー
Project/Area Number |
04454419
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
望月 眞人 神戸大学, 医学部, 教授 (80030922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 峰夫 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (00220301)
出口 正喜 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (70163938)
丸尾 猛 神戸大学, 医学部, 講師 (60135811)
森川 肇 神戸大学, 医学部, 助教授 (30030894)
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Keywords | 妊娠中毒症 / ナトリウムイオン / カルシウムイオン / マグネシウムイオン / 液性因子 / エンドセリン |
Research Abstract |
(1)[Na代謝]我々はすでに、Na代謝については数年前より研究を開始しており、詳細な報告を行っているが、赤血球を用いた細胞内Na^+濃度の検討では、PIH症例においては正常妊娠と比較して有意の高値を示し、かつ重症度と正の相関が認められた。 (2)[Ca代謝]我々はすでにPIHにおいては正常妊娠に比して血中Ca^<2+>濃度の低下、1,25(OH)2vitamineD3の低下、PTHの増加、骨密度の低下等のCa代謝異常の起きていることを明らかにし、報告してきた。次なる問題である細胞内Ca^<2+>濃度の変動については、血小板液浮遊液を用いたin vitro実験系で、蛍光プローブによる測定系で臨床例における測定では、PIH症例での細胞内Ca^<2+>濃度が有意に高い傾向を認めている。また、細胞内Ca^<2+>濃度の変動に与える因子については、妊婦血中のホルモンのうち17B-estradiol,enddothelin-1等が増加作用を、一方progesterone,心房性Na利尿ペプタイド等が減少作用の傾向を示しているが、またその他に血液中の未知の因子の存在する可能性を示す成績も得た。さらに、血中のMg^<2+>濃度の検討では、PIH症例において正常妊娠に比して低下傾向を示した。そこで、これらの成績にもとづき現在細胞内Ca^<2+>濃度の変動におよぼす細胞外Mg^<2+>濃度の影響を検討すべく前述の実験系を用いて検討をすすめているが、細胞外Ca^<2+>濃度/細胞外Mg^<2+>濃度比が増加するにつれて細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が認められ、Mg^<2+>が細胞内Ca^<2+>動態に重要な影響を与えることが推察された。 (3)[微小循環動態]エンドセリンの特異的EIAを用いた測定では、PIH症例で高い傾向を認めている。臍帯血管内皮細胞培養系を用いてET-1の分泌機構につき検討をすすめており、estrogenをメディウム中に添加しインキュベーションしたところ、血管内皮細胞内ET-1濃度は上昇を示したもののprogesterone添加では有意の低下傾向を示し、ET-1分泌機構の解明における新たなアプローチが得られた。
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[Publications] 望月 眞人: "妊婦とカルシウム療法" 産婦人科治療. 65. 431-436 (1992)
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[Publications] 望月 眞人: "カルシウム代謝" 日本臨床栄養学会雑誌. 13. 76-83 (1992)
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[Publications] 望月 眞人: "妊娠中毒症を防ぐ" NHKきょうの健康. 8. 32-35 (1992)
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[Publications] 森川 肇: "妊娠中毒症ー最近の動向ー 妊娠中毒症とカルシウム代謝" 金原出版, 10 (1992)
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[Publications] 山崎 峰夫: "妊娠中毒症ー最近の動向ー 妊娠中毒症の発症予知" 金原出版, 10 (1992)