1992 Fiscal Year Annual Research Report
内リンパ水腫とめまい発作,感音難聴の発現およびその治療に関する研究
Project/Area Number |
04454433
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中井 義明 大阪市立大学, 医学部, 教授 (10046998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂下 哲史 大阪市立大学, 医学部, 助手 (20205743)
枡谷 治彦 大阪市立大学, 医学部, 助手 (10190357)
小西 一夫 大阪市立大学, 医学部, 講師 (50145801)
大橋 淑宏 大阪市立大学, 医学部, 講師 (60160602)
山根 英雄 大阪市立大学, 医学部, 講師 (60145787)
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Keywords | 内リンパ水腫 / メニエール病 / 誘発耳音響放射 / 自覚症状 / AAO-HNS / 音響暴露 / 血管条血流 / 再生 |
Research Abstract |
メニエール病患者における誘発耳音響放射の主周波数は、聴力正常耳のそれに比し低くなる傾向があることを報告してきた。本年度は症例を重ねて検討した結果、主周波数の変化する症例は、聴力がほぼ正常に近いレベルまで回復した時か、難聴の程度が比較的軽度の症例に限られることが判明した。 メニエール病をはじめとするめまい疾患の治療効果の判定に、患者の自覚症状を反映するdisabilityを用いることを提案した。disabilityの分類はAAO-HNSの判定基準を細分化し、5段階に分類して検討した。対象はメニエール病、一側末梢前庭機能障害、椎骨脳底動脈循環不全の各患者で、アンケート調査を行い、その結果を頭部運動、重心移動、固視、足底面積、受動動作の5つの構成要素の障害に対応させて検討した。その結果、同じstageのdisabilityにおいても各疾患特有の動作構成要素の障害が確認された。 音響が内耳に与える影響を蝸牛血流から検討した結果、強大音響暴露により血管条血流の停滞することが判明した。これらが内耳の自律神経の不均衡によるものか否かを検討したところ、内耳の自律神経の不均衡そのものが内耳血流に大きな影響を有さないことが判明した。すなわち、血管条血流の調節は血管条そのもので行われている可能性が示唆された。 幼弱鶏に音響暴露を行い、その感覚細胞の再生過程をin vivoおよびin vitroで検討した。 その結果、内時感覚細胞の再生はin vivoで確認されたが、in vitroでの単独条件の観察では再生は認められなかった。この両条件の差が今後、ほ乳類内耳における感覚細胞再生の可能性を左右する大きな要素と考え、現在詳細に検討中である。
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[Publications] 中井 義明: "突発性難聴の臨床" 耳鼻咽喉科臨床. 85. 844-845 (1992)
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[Publications] Nakai,Y.Masutani,H et al: "microvascurature of normal and hydropic labyrinth" Scanning Microscopy. 6. 1097-1104 (1992)
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[Publications] 中井 義明: "突発性難聴" 今日の治療指針(医学書院). 771-772 (1992)
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[Publications] 中井 義明: "メニエール病患者の誘発耳音響放射" 厚生省特定疾患-前庭機能異常調査研究班 平成3年度報告書. 33-37 (1992)
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[Publications] 山根 英雄: "内耳の非特異的防御機構" Equilibrium Res.51(2). 281-286 (1992)
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[Publications] 坂下 哲史: "メニエール病患者における誘発耳音響放射の周波数分析" Equilibrium Res.Suppl. 8. 33-37 (1992)
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[Publications] 中井 義明,鳥山 稔,形浦 昭克,斉藤 等 編: "今日の耳鼻咽喉科頭頸部外科治療指針" 医学書院, 636 (1992)
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[Publications] 西田 祥蔵,中井 義明,毛利 学 編: "Clinical Nussing guide 10 眼科 耳鼻咽喉科、口腔外科" メディカ出版, 462 (1992)