1994 Fiscal Year Annual Research Report
唇顎口蓋裂患者の裂隙および術後口唇、口蓋部瘢痕に対するレーザを用いた診断システム
Project/Area Number |
04454516
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 博之 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20184492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 拓郎 北海道大学, 歯学部, 助手 (70250462)
友近 晃 北海道大学, 歯学部, 助手 (20241341)
土田 隆彦 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00197708)
今井 徹 北海道大学, 歯学部, 助教授 (40160030)
中村 進治 北海道大学, 歯学部, 教授 (80001791)
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Keywords | 唇顎口蓋裂 / 口蓋形成手術 / 瘢痕組織 / レーザードップラー / 組織血流 / 上顎劣成長 / 歯列狭窄 / 診断システム |
Research Abstract |
今年度は、本学歯学部附属病院矯正科で矯正治療中の硬軟口蓋裂患者15名を研究対象として、口蓋形成手術後の骨露出面に生じた瘢痕組織の分布と上顎歯列弓形態および上顎骨の成長との関連について検討を行った。口蓋部瘢痕組織の同定は、これまでに開発した方法に基づきレーザードップラー血流計を用いて行ったが、今回は瘢痕組織の分布を詳細にとらえるため、計測部位を第一大臼歯歯冠中央より前方の口蓋全域にわたり2mm間隔でおよそ60〜80点設定した。また、上顎歯列弓形態および上顎骨の成長の評価にあたっては、矯正科初診時の歯列模型および側面頭部X線規格写真を用いて形態分析を行った。これまでに得られた知見は以下の通りである。 1.口蓋部瘢痕組織の分布については、その広がりの特徴により4つのタイプに分けられた。 2.各タイプごとに特徴的な歯列弓形態が認められたが、瘢痕組織の分布が広いタイプほど歯列弓の狭窄は広範囲におよんでおり、またその程度も強かった。 3.前上顔面高、後上顔面高および中顔面の深さなど上顎骨の前後的上下的成長に関しては、各タイプ間で明らかな差異は認められなかった。 以上により、口蓋形成手術後の骨露出面に生じた瘢痕組織は、上顎歯列歯槽部の発育に抑制的に作用し、歯列弓の狭窄の程度を左右する大きな要因であることが確認された。またこのような骨露出面に生じた瘢痕組織は、上顎骨の前後的上下的成長に直接的には関連しないことが示唆された。これについては、翼突口蓋縫合部などのより後方部での瘢痕組織や外科的な侵襲が関与しているものと思われた。今後は計測方法の簡便化をはかるとともに、上顎歯列弓の拡大やその保定に関する治療計画立案のための診断システムとして臨床応用をめざしていく予定である。
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