1994 Fiscal Year Annual Research Report
白血球の活性酵素産生系における多段階活性化機構の解析
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04454532
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石橋 貞彦 広島大学, 医学部, 教授 (90012616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 直樹 広島大学, 医学部, 助手 (30144827)
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Keywords | 白血球 / NADPHオキシダーゼ / スーパーオキシド / 細胞膜 / 膜流動性 / プロテインキナーゼC / アラキドン酸 / プロテインホスファターゼ |
Research Abstract |
白血球による活性酵素のうち最初の産生物であるスーパーオキシドアニオン(O_2)産生の多段階性を、その制御との関連において、主としてモルモット腹腔白血球のintact細胞系と無細胞系を用い、引き続き検討した。先ず、O_2産生系、NADPHオキシダーゼ、を構成する細胞膜因子と細胞質因子が離散状態から集合状態に変わって活性複合体を形成する前段階を検討した。その一環として蛍光アニソトロピー法により膜流動性を測定し、O_2産生促進に伴って膜流動性の上昇を認めた。次いで、細胞質因子の1種46K蛋白の細胞膜への移行を種々の条件下で検討し、の意義を再確認した。in vivoでは、この移行にはしばしばプロテインキナーゼC(PKC)によるリン酸化が伴い、リン酸基導入による負電荷の役割が考えられてきた。しかし、アラキドン酸やSDS等の両親媒性酸性物質処理によってPKCの関与無しに、O_2産生促進が認められる。この場合も上記蛋白の細胞質から細胞膜への移行が認められ、また膜流動性の上昇が誘起されるので、種々の誘因が相乗的に作動する可能性が考えられた。なお、同じく両親媒性酸性物質とはいうものの、アラキドン酸とSDSではかなり相違があることを明かにし、これらの立体構造から論を進めている。一方では、プロテインホスファターゼ阻害剤を利用した実験から、白血球細胞質に存在する本酵素による46K蛋白の脱リン酸化がO_2産生反応を停止することを報告した。停止反応はこれだけではないであろうが、この知見は上記リン酸化の意義ならびに白血球の自己保護機構として興味深い。更に、白血球細胞質を分画しこれらの画分と細胞膜を合わせた無細胞系におけるO_2産生を測定したところ、前述の種々の蛋白を含む高分子画分に低分子画分を加えると、産生が更に促進された。この低分子性促進因子は、既知のGTPやFAD等とは異なり、これらと相加的な促進作用を示した。種々の組織の中で、この促進活性は白血球の他には脳にのみ検出され、白血球因子と脳因子は同一の機構で作用するものとみなされた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sasaki,J.: "Activation mechanism of NADPH oxidase by SDS in intact guinea pig neutrophils" Arch.Biochem.Biophys.315. 16-23 (1994)
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[Publications] 石橋貞彦: "白血球における活性酵素産生制御" 生化学. 66. 539-541 (1994)
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[Publications] Yamaguchi,M.: "Frontiers of activa oxygen species in biology and medicine" Elsevier Science B.V., 578 (1994)