1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454537
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Research Institution | School of High-Technology for Human Welfare Tokai University |
Principal Investigator |
沖野 遥 東海大学, 開発工学部・医用生体工学科, 教授 (60055689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 隆美 東海大学, 開発工学部・医用生体工学科, 教授 (30101843)
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Keywords | 血流 / 血管壁 / 左心室 / 内皮細胞 / 血管狭窄 / 血管分岐 / 計算流体力学 / 壁ずり応力 |
Research Abstract |
本研究の基本的な目標は、血流と正常および異常の血管壁の相互作用を計算流体力学の手法で解明することにあった。その背景には、粥状動脈硬化症をはじめとする各種血管病の発症、局在、進展などには、血流の力学的性質が深く関与しており、問題はいかなる力学量が決定的であるかを解明することにあるという基本認識があった。そこで、われわれは、次の3つの分野に焦点を絞って、血流と壁の相互作用の計算力学的解析を行った。 1.運動壁をもつ生体内流れ場の解析 1.1心臓左心室 イヌ正常左心室の鋳型標本に基づく数値モデルをつくり、その内部の流れを計算によって再現できた。最近、拡張と収縮を連続して解析するシステムを開発し心不全時の心室内の機能的分節化を計算で再現した。 1.2.厚肉壁をもつ血管狭窄 実際の血管程度の厚みをもつ固体壁と、その一部に粥状動脈硬化斑を模した狭窄などの異常がある血管モデルにおける流れと壁の構造変形を連成して解析することが可能となった。 2.複雑3次元構造をもつ血管内流れの数値的可視化 分岐の角度および分岐の壁の曲率などをパラメトリックに変化させることができる3次元の分岐管モデル作成システムを開発し、非定常の計算を行い、流れが壁にもたらすずり応力の時空間的分布を可視化した。 3.細胞スケールにおける計算流体力学 内皮細胞の核の頂上における壁ずり応力を低下させるように細胞が運動するという仮定で、自発運動する細胞モデルを作成し、定常流れの条件で、血管内および培養内皮細胞の配向現象が説明できることを示した。これは、細胞レベルの創発的な形態形成と呼ぶことができ、今後の各種生体構造の発生機構の解明に有力な手法を提起するものと考えられた。
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[Publications] T.W.Taylor,H.Okino,T.Yamaguchi: "Three-Dimensional Analysis of Left Ventricular Ejection Using Computational Fluid Mechanics" Journal of Biomechanical Engineering. 116. 127-130 (1994)
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[Publications] T.W.Taylor,H.Okino T.Yamaguchi: "Three-Dimensional Visualization of Blood Flow in Vascular Structures" 可視化情報. 14. 46-50 (1994)
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[Publications] T.W.Taylor,T.Yamaguchi: "Three-Dimensional Simulation of Blood Flow in an Abdominal Aortic Aneurysm--Steady and Unsteady Flow Cases" Journal of Biomechanical Engineering. 116. 89-97 (1994)
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[Publications] 山口隆美: "内皮細胞はなぜ変形,配向するか(動脈内皮細胞の形状,配向の変化と血流の関係についての計算流体力学的試論)" 日本機械学会論文集B編. 60. 3665-3671 (1994)
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[Publications] 杉岡由喜子,則武淳 山口隆美: "血流の三次元数値流体力学的モデルと定常流におけるシミュレーション" Journal of Advanced Science. 6. 47-50 (1994)
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[Publications] 山本康人,星合清隆,山口隆美,花井莊太郎,増田道隆,藤原敬己: "培養内皮細胞が受けるずり応力の数値流体力学的解析" Journal of Advanced Science. 6. 89-92 (1994)