1993 Fiscal Year Annual Research Report
司法精神鑑定のデータベース化と判断の客観的基準作成の研究
Project/Area Number |
04455004
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Research Institution | The University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小田 晋 筑波大学, 社会医学系, 教授 (90049156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 親次 筑波大学, 社会医学系, 講師 (90162437)
土本 武司 筑波大学, 社会学系, 教授 (30207401)
山上 皓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60107315)
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Keywords | 司法精神医学 / 精神鑑定 / データベース / 刑法学 |
Research Abstract |
筑波大学社会医学系精神保健グループにおける121件の精神鑑定事例について、人口統計学的諸項目、犯罪学的諸項目、精神医学的諸項目を入力した。これら諸項目は以下のとおりである。犯罪種、性別、犯行時年齢、婚姻関係、犯行時職業、犯行時住居、犯行時同居者、犯行場所、犯行手段、犯行動機、罹病期間、入院歴、問題行動歴、逮捕歴、犯行時治療状況、犯行兆候、対応適切性、被害者関係、責任能力判定、鑑定種別、犯行疾病関係、犯行記憶、疾病診断の23項目からなるデータベースを作成した。データベースの作成過程から及びデータベースの活用から次のを得た。 (1)データベースから30件の精神鑑定例を検索し、富田らの供述分析を適用し、犯行そのものについて全面的に記憶欠損を訴える群では、生活歴・家族歴など犯行と直接関係のない供述内容も変遷し、真でない傾向認めた。(2)新生児や乳幼児を殺害した母親の精神鑑定例3例を、データベースから抽出し、その犯行心理を検討した結果、母親に共通する要因として妄想や抑うつ気分という精神症状よりも、「孤立」を色濃く認めた。(3)日本の精神鑑定に精神障害の国際分類を導入する意義を指摘した。(4)精神分裂病者による触法行為について、病的機序、病前性格、環境要因の間の力動を捉えるための数式モデルをデザインし、実際のデータベースから抽出された鑑定例に導入し、分析を試みた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 小田 晋: "強姦犯の行動学" Imago. 4(4). 206-216 (1993)
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[Publications] 小田 晋: "同胞相克と殺人-カイン・コンプレックス-" Imago. 4(1). 232-239 (1993)
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[Publications] 小田 晋: "信仰と犯罪-犯因および犯罪抑止要因としての宗教についての社会病理学的考察-" こころの科学. 43号. 70-76 (1992)
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[Publications] 小田 晋: "宗教精神病理の現在" 精神医学. 35(4). 357-364 (1993)
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[Publications] 小西聖子: "母親による新生児殺と乳児殺" アムエーム依存とアディクション. 9(3). 190-196 (1992)
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[Publications] Takako Konishi: "Mother-Child Relationships in Caces of Felicile" Acta Criminologiae et Medicinue Legalis. 59(6). 260-271 (1993)
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[Publications] 小田 晋: "現代人の精神病理-私の臨床ノートから-" 青土社, 276 (1992)
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[Publications] 小田 晋: "「薬物依存と乱用」臨床心理学大系10巻" 金子書房, 37(214-250) (1992)