1992 Fiscal Year Annual Research Report
水辺環境の緑化・修復に関する植生生態工学的基礎研究
Project/Area Number |
04455014
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
奥田 重俊 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 教授 (00000141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 啓一 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助教授 (20213811)
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Keywords | 水辺環境 / 冠水植生 / 群落 / 緑化 / 生態系 / 貯水ダム / 河川 / 沖積低地 |
Research Abstract |
水辺環境の緑化・修復に関し、沖積地の植生の諸資料の収集と現況調査を関東地方の利根川、荒川、那珂川、多摩川、相模川の低地部を中心に行った。加えて、東北南部から近畿地方の主要な河川の冠水域の植生調査資料を得て比較検討が行われた。調査河川は北より、北上川とその支流の雫石川、名取川、阿武隈川、天竜川、矢作川、木曽川、淀川、紀ノ川などである。 各調査河川では、自然度の高い地区をそれぞれ1〜2か所見いだすことができた。河川の中流から下流にかけて、粘土質土壌が厚く堆積する沖積低地での冠水植生は、おもにジャヤナギ、アカメヤナギ、カワヤナギ、タチヤナギ、イヌコリヤナギなどの夏緑広葉樹で構成される低木林や高木林と、オギ、クサヨシ、ヨシ、セイコノヨシなどの禾本草原で成り立っていた。また、下流部まで硬質の天竜川では、砂質土壌上にコゴメヤナギ林とツルヨシ、チガヤなどの草原が特徴的であった。さらに山地渓谷部の植生として谷川岳山麓では、これまで未調査であったユビソヤナギ林の植生調査資料を得ることができた。以上の結果、河川敷の植生は土壌的環境によって構成する群落の組み合わせが異なり、さらに、生育地の状態の多様性が数多くの群落を成立させ、多様な形態、構造を示すことが明らかになった。このことは、生態系の多様性を維持する主要な条件である。なお、河辺の緑化や修復に関しては、これらの群落を構成する植物の中から植栽適種が選定されるべきである。 貯水ダムの緑化の現地調査として利根川支流と猪名川流域で緑化の現状を調べ、イタチハギ、タチヤナギなどの植栽結果や表層土壌の還元によるアカメガシワを主とする高木林の緑化の資料を得ることができた。さらに、都市河川における水辺の現況調査として、主に多摩川において近自然型工法による護岸について調査することができた。
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