1994 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖ストレスに対する適応能力の個人差の解明とその予測のための試験的研究
Project/Area Number |
04551001
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Research Institution | Aichigakuin University |
Principal Investigator |
木田 光郎 愛知学院大学, 文学部, 教授 (80023654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 正文 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (30197470)
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Keywords | 閉鎖環境 / 感覚遮断 / 刺激希求 / 脳波周波数分析 / 心拍変動 |
Research Abstract |
本研究は、平成4年度から開始され、本年度が最終年度による。本年度の研究計画の第1の目標は、初年度(平成4年度)、176名の被調査者を対象に作成された、閉鎖ストレスに対する適応・耐性の個人差を予測するための、日本版刺激希求尺度(Stimulus-Seeking Scale:SS尺度)の標準化を目指すことである。被調査者をさらに追加し、総計460名のデータをもとに再分析、再構成し、一応の完成をみた。この尺度は、Schultzの提唱したsensoristasisモデルに依拠したもので、Zuckermanら(1964)の尺度を参考にしつつ、独自の尺度構成を試みた。即ち、外部環境の刺激に対する希求(所謂、感性動因)に加えて、それとは独立した内部環境の刺激に対する希求の次元を想定し、それらの意味内容を表すと考えられる40項目(各20項目)を、まずア・プリオリに作成した。全40項目の5件法選択肢による調査結果を対象に因子分析(主成分解、バリマックス回転)を行い、最終的に各8項目から成る2因子を抽出した(前報告では10項目であった)。当初予想した2つの次元は第1因子と第2因子に表されており、外的刺激希求内的刺激希求の2軸は相互に独立して想定出来るものであった。この日本版SS尺度は、高い信頼性(α係数)を示すとともに、特性不安尺度や向性尺度の間の相関係数からSS尺度の独自性が示された。 閉鎖ストレスに対する適応・耐性の個人差は、短時間の結果を以て長時間の耐性を予測出来るのではないか、これが本研究の第2の目的である。6時間感覚遮断実験(初年度)、2-3時間の社会的隔離実験(2年目)を通して得られたデータをもとに、脳波(α波)の周波数スペクトグラムに加えて、心拍変動スペクトル分析が、長期ストレスに対する耐性の個人差を予測するうえで有効な指標と成り得ること、さらに外環境からの刺激に対する定位反応(聴覚誘発電位)の有効性をSS尺度の得点と比較しながら目下検討している。
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Research Products
(1 results)