1993 Fiscal Year Annual Research Report
司法試験制度改革に伴う合格者像の変動予測システムの作成
Project/Area Number |
04552001
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 久敏 筑波大学, 社会工学系, 教授 (10108219)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木島 正明 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (00186222)
|
Keywords | 社会システム / 司法試験 / 制度改革 / 合格者像の予測 / 定量的評価 / 数理工学 / マルコフ連鎖 / シミュレーション・モデル |
Research Abstract |
申請者らは過去に、司法試験の合格定員を500名とした場合と700名に単純増員した場合に、将来の合格者像のどのように変化するかを、昭和58年から63年までの5年間の司法試験データと、マルコフ連鎖モデルを用いて解析し、司法試験制度改革案の定量的評価を行った。その後、法務省は平成元年から毎年合格者を増やし、合格定員900名に向けて段階的増員を実施している最中である。本研究は、この貴重な制度改革途上の司法試験データを収集・整理するとともに、900名への段階的増員案等の改革案の影響を評価するため、マルコフ連鎖理論に基づき、シミュレーション・モデルを作成し、合格者像の変動を予測できる計算機システムを構築することを目的とした。 このため、昨年度は本補助金で高機能なアップルコンピュータ社のQuadra950を購入し、本年度、計算機上でシミュレーションを実施するための準備を行うと共に、主としてマルコフ連鎖モデルの理論的解析を進めた。 最終年度である今年度は、法務省司法法制調査部の協力を得て、平成元年から平成4年度までの司法試験受験者・合格者のデータをコンピュータに入力し、作成したシミュレーション・モデルに投入することで、700名単純増員案、900名段階的増員案等の比較を行った。 結果として、900名段階的増員案も受験の長期化・合格者の高齢化に歯止めを掛け得ないことが判明した。また、現在、ちょうど丙午生まれの世代が司法試験受験者の中核をなしているが、合格者像の変化に出生人口の極端な減少が影響していることも、本研究中に明らかになった。本研究で作成した計算機システムは簡単に使える状況なので、司法試験制度改革案が合格者像に与える影響を、モデルを通した科学的な議論に乗せる態勢が整ったことになる。
|
-
[Publications] Kijima,M.: "Quasi-limiting distributions of Mark a chains that are skip-free to the left in continuous time" Journal of Applied Probability. 30. 509-517 (1993)
-
[Publications] Kijima,M.: "Numerical calculation of ruin probabilities for skip-free Markon chains" SIAM Review. 35. 621-624 (1993)
-
[Publications] Kijima,M.: "On separation for birth-death processes" Probability in the Engineering and Informational Sciences. 8. (1994)
-
[Publications] Kijima,M.: "Bounds for the quasi-stationary distributions of Markon chains" Mathematical and Computer Modelling. (1994)
-
[Publications] 木島正明: "ファイナンス工学入門:第I部,ランダムウォークとブラウン運動" 日科技連出版社, 250 (1994)