1992 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物の生態系と調和した海岸構造物の設計法に関する研究
Project/Area Number |
04555129
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
前野 賀彦 日本大学短期大学部, 助教授 (90110139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 輝久 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60215390)
堺 茂樹 岩手大学, 工学部, 助教授 (80091643)
細井 由彦 鳥取大学, 工学部, 教授 (50127859)
浅野 敏之 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (40111918)
宮川 豊章 京都大学, 工学部, 助教授 (80093318)
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Keywords | 海洋生物 / 生態系 / 海岸構造物 / 海洋環境 / 設計法 / 耐久性 / 波浪制御 / 海洋コンクリート |
Research Abstract |
研究代表者の前野は、海洋汚濁防止膜に付着する海洋生物の日本列島沿岸域での分布調査を開始している。また、海洋構造物の展開にとって重要であり、海洋生物の分布とも密接に関連している海洋底質の特性を把握するため、海洋底質の土壌分析も併せて行っている。研究分担者の綿貫は、海岸構造物への海洋生物の付着に関する文献調査および観測結果の収集を行っている。研究分担者の浅野は、沿岸域植生特に海藻群落の水理学的特性について研究を行い現在も継続中である。沿岸域の植生の水理的機能として繁茂域に来襲する波浪の減衰効果があり、流れの静穏化・底質の沈澱をもたらす。研究分担者の宮川は、海洋環境におけるコンクリートの劣化課程に関する検討を行い、劣化が空気中の二酸化炭素によるコンクリートの中性化および海水中の硫化物によって加速されることを実験的に示した。また、コンクリートが海洋生物に与える影響について、文献および聞き取り調査を行い、コンクリートの構成物質の溶出による化学的な影響よりも、むしろ形状による幾何学的要素が強いことを示した。研究分担者の細井は、海岸構造物の水質保全効果を調べ、この効果を積極的に活用するために、実際に海岸構造物に付着している生物膜を採取し細菌数等を調べている。さらに、上水について開発されたAOC(同化可能有機炭素)を海水中の有機物の生物分解性を調べる指標として用いる手法の開発を行い、各種海水中の有機物の生物分解性を調べている。研究分担者の堺は、現存する海洋構造物が作り出す環境が水産生物に及ぼす影響を明らかにすべく、漁業従事者に対するアンケート調査を行った。その結果、離岸堤・防波堤が水産生物と調和するための条件は、波浪減衰効果を有すること、海水が混濁しないこと、砂が堆積しないことであるとした。
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