1992 Fiscal Year Annual Research Report
近代建築構法に関する放射線分析法及び超音波分析法を用いた復原システム
Project/Area Number |
04555144
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金多 潔 京都大学, 工学部, 教授 (60025830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 博 日本建築総合試験所, 材料室長
堀勇 良 横浜開港資料館, 研究員, 研究員
柳谷 俊 京都大学, 工学部, 助手 (00259128)
西澤 英和 京都大学, 工学部, 助手 (70127116)
石田 潤一郎 京都大学, 工学部, 助手 (80151372)
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Keywords | 近代建築 / 構法 / 放射線分析 / 超音波分析 / 復原 |
Research Abstract |
本研究は物理分析の手法を基軸として建築史学・構造学・材料学等を総合し、近代日本における種々の建築構法を解明・復原するシステムを提案しようとするもので、研究対象は凡を明治20年代以降、大正10年前後迄の時期に於る (1)石材及び煉瓦積技術(2)屋根材及び屋根葺技術(3)鉄・銅・鉄骨技術に関し(1)煉瓦・石材の超音波による状態分析(2)目地モルタル・スレート・鉄材の蛍光X線・X線回折法による分析(3)構法に関する文献調査を実施し、データベース化を試みるものである。平成4年度に於る成果は以下の通りである。 i)現地用の超音波検出装置の試作 石材・煉瓦等が風化すると表面に微細な亀裂を生じるとともに、岩石等の結晶構造が崩れる為 表面を伝幡する超音波の速度が低下することが知られている。これらの現象を現地で測定するためのポータブルの検出装置を試作した。 ii)特定の建物での実測とサンプル試験の実施 歴史的な経緯の明確な建物として、明治34年竣工の大阪府立中之島図書館の正面階段及び大正2年竣工の横浜新港埠頭赤煉瓦第1号倉庫を対象として、各種のサンプル採取と実測データの集収を行った。 この結果、前者に於る硫黄バクテリアによる花崗岩の風化劣化と明治期の瓦は施工の関連について、放射線分析による検討を加え、修復原案を提案した。後者については、エフロレセンスに起因する煉瓦の劣化と蒸発岩及び水分による膨張破壊について検討を加え、当該建物の修復の指針を策定した。
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