1993 Fiscal Year Annual Research Report
弓部大動脈瘤手術の安全性向上を目的とした脳循環モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
04557059
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 暉 大阪大学, 医学部, 教授 (00028614)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 元延 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
三浦 拓也 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
川田 博昭 大阪大学, 医学部, 助手 (40234075)
宮本 裕治 大阪大学, 医学部, 助手 (80229898)
金香 充範 大阪大学, 医学部, 助手 (70169580)
|
Keywords | 体外循環 / 脳障害 / 脳組織pH / 近赤外分光 / 脳内酸素量 |
Research Abstract |
平成5年度は、前年度に確立した家兎を用いた体外循環実験モデルを用いて、脳血流量を減ずることにより脳障害を惹起させ、その脳障害を的確にモニターできる指標を求めた。【対象、方法】体重2.5kgの家兎10羽のうちデータの採取できた5羽を対象とした。血液温37℃の常温血液希釈体外循環を行った。まず灌流量100ml/kg/minの定常状態(以下所定灌流時と略す)をえた後、灌流量を80、60、45、30ml/kg/minに減じ、各々20分間続けた後、再び100ml/kg/minに戻した。測定項目は大脳側頭葉に直接穿刺した組織pHモニター計により連続測定した脳組織pHと脳実質温、近赤外分光により連続測定した脳内酸素量の変化、経時的に観血的に測定した内頚静脈血の酸素飽和度及びpHであった。【結果】灌流量の低下とともに灌流圧は低下したが、45ml/kg/minまでは所定灌流時と有意差は認めなかった。所定灌流時平均7.28の脳組織pHは、灌流量を30ml/kg/minにした時有意に低下し、所定灌流時に比して0.19±0.08(平均±標準偏差)低下した。脳内還元Hb量は、灌流量の低下に応じて有意に増加し、所定灌流時に比して30ml/kg/minの灌流時には15.8±11.9micro Mole/L増加した。この還元Hb増加量と脳組織pH低下量の関係は、個々の実験例では相関係数rが0.363から0.942(平均0.727)の有意な負の直線相関をえ、還元Hb量が増加したものほど脳組織pHはacidosisとなった。しかし、5実験例全部で検討すると負の直線相関をえたが有意なものではなかった。【まとめ】1)常温体外循環において、灌流量の低下は脳組織pHの低下を来し、特に灌流量が30ml/kg/minではそれが著明であった。2)脳内還元Hb量は灌流量の低下とともに増加した。3)個々の実験例において、脳内還元Hb量が増加するほど脳組織pHは低下した。しかし、脳内酸素量変化と脳障害の関係については更なる検討が必要と考えられた。
|