1994 Fiscal Year Annual Research Report
弓部大動脈瘤手術の安全性向上を目的とした脳モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
04557059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 暉 大阪大学, 医学部, 教授 (00028614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶌 教傅 大阪大学, 医学部, 助手
門場 啓司 大阪大学, 医学部, 助手 (00185886)
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Keywords | 低体温体外循環 / 脳分離体外循環 / 近赤外分光 / 酸化ヘモグロビン / 還元ヘモグロビン |
Research Abstract |
平成6年度は、低体温体外循環時における脳循環のモニターとして近赤外分光法による持続脳内酸素量変化測定を成人開心術症例8例、小児例5例、脳分離体外循環下に手術を施行した胸部大動脈瘤症例6例について行い、その臨床的有用性を検討した。【方法】脳内酸素量は、浜松フォトニクス社製近赤外線酸素モニターNIRO-500を用いて連続測定した。脳内酸素量の変化として、酸化ヘモグロビン(HbO2)及び還元ヘモグロビン(HbR)を、体外循環(CPB)前値をコントロール(0)とし、CPB開始10分、30分、60分、90分における前値からの変化量(μM)で表わした。胸部大動脈瘤症例では脳分離体外循環に脳内酸素量測定を行い、分離体外循環開始10分、30分後の2点におけるHbO2、HbR値と脳灌流量との相関の有無を検討した。【結果】HbO2値は成人症例ではCPB開始10分、30分、60分、90分後において-3.3±2.3、-4.7±3.7、-5.2±5.1、-7.8±6.5(mean±SD)μMと有意に低下し、小児例では-13.7±6.8、-15.6±5.1、-12.8±11.7μMと有意に低下した。HbR値は小児例では有意差を認めなかったものの、成人例では、2.5±2.9、5.5±5.7、6.8±8.6、10.8±9.4μMと有意に上昇した。しかし、CPB中はいずれもその変動に有意差を認めず一定であった。脳分離体外循環中の脳灌流量とHbO2値との間には、r=0.764の有意(p<0.05)な正の1次相関を認めた。また脳灌流量とHbR値については、r=-0.610であり、負の一次相関を認めたが、統計学的には有意ではなかった。【まとめ】近赤外分光法による脳内酸素量変化測定は、低体温下体外循環中の脳の循環状態のモニタリング手段として利用できると考えられる。
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