1994 Fiscal Year Annual Research Report
密閉系・変位可変型動的粘弾性装置開発による食品の非線形・大変形挙動の解析
Project/Area Number |
04558017
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
勝田 啓子 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (50093555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 孝芳 京都大学, 工学部, 助教授 (70026144)
西成 勝好 大阪府立大学, 生活科学部, 教授 (10254426)
松本 幸雄 大阪府立大学, 農学部, 教授 (70081502)
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Keywords | 動的粘弾性装置 / 密閉系 / 非線形性 / 大変形挙動 / 周波数分散 / RCP法 |
Research Abstract |
食品の調理・加工工程では大変形下でのレオロジー挙動を把握することが重要である一方、食品の味覚あるいは嗜好を考慮する際には、線形性の範囲内での挙動を明らかにすることが先決である。従来の食品領域のレオロジー研究ではこの線形性の範囲内の挙動すら十分には解明されていなかった。それは歪分散の測定可能な変位可変型の動的粘弾性装置が食品領域では殆ど使用されていなかったため、食品個々の線形性の範囲が特定出来ていなかったことによっている。 本研究では、一例としてケチャップとマヨネ-ズの測定を試み、(1)線形性の範囲は食品により異なること、(2)大変形下では、線形性の範囲内では認められなかった緩和機構が現れること、(3)人間の食品に対する「ねばさ」の感覚は、これまで言われてきたように必ずしも1点のずり速度で判定しているものではないであろうこと、(4)動的弾性率が同じ程度でも、粘度はかなり異なること、(5)与える変位の履歴応答は食品により異なり、それが食品の特性を表すこと、等が明らかになった。 食品のレオロジー的性質を明らかにするには、周波数依存性を把握することも不可欠の要素となるが、従来の動的振動法では、加熱により急激な変化を起こしているような系で、ある範囲の周波数依存性を測定するのは困難であった。しかし、ステップ制御可能な駆動部にすることにより、RCP法での測定を可能にし、さらには密閉系にして水分蒸散を防止したことにより、急激な力学挙動変化を起こしている加熱中という条件下で粘弾性挙動変化を把握することが可能となった。その結果、タンパク質の加熱によるゲル形成過程や澱粉の糊化過程でのゾル-ゲル転移点を正確に求めることができた。
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