1992 Fiscal Year Annual Research Report
有機農産物をめぐる「産消提携」運動における「結合と対立」関係の実証的比較研究
Project/Area Number |
04610094
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山崎 達彦 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (50003992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大渕 祥子 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (20203929)
細江 達郎 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (70004059)
横井 修一 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (00048802)
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Keywords | 有機農業運動 / 産消提携運動 / 都市と農村の交流 / 地域活性化 / 農業の教育力 / 結合と対立 |
Research Abstract |
本年度は2年間にわたる本研究の初年度であるため、当報告は,これまでの研究経過報告の域をまぬかれず,この意味において文字どおり中間報告としてのまとめである。 1.文献資料の検討 1) 有機農産物をめぐる「産消提携」運動の全国的な動向の把握 2) 熱塩加納村の有機農業運動の成立契機の確認と展開過程の考察 文献資料の検討1)においては,わが国の有機農業運動が,1970年代後半から1980年代前半にかけて,生産者と消費者との提携によって拡大したこと,したがって1980年にスタートした熱塩加納村の有機農業運動の形成過程もそのような動向とのかかわりを無視しては考察されえないこと,また2)においては,熱塩加納村の有機農業運動の成立契機が、従来の「近代化農業」に対する生産者の常平成からの素朴な「疑問」と無縁ではなかったこと,またリーダーの役割がその展開過程の考察においては不可欠であることが,さしあたり示唆された。 2. 現地調査の実施 1) 熱塩加納村の有機農業運動にかかわる役職者に対する面接調査 2) 熱塩加納村半在家集落および下針生集落住民に対する面接調査 現地調査の1)においては,農業協同組合、役場および(小・中)学校がいわば三位一体となって有機農業運動を担っている構図が明らかになった。さらに2)においては,熱塩加納村の有機農業運動が,「兼業化してもいい,みんなが農業を営んでいる村づくり」という熱塩加納村農業組合の基本理念との関係において、大きな障壁に直面するに至っているという深刻な事実が認められたといっても過言ではないように思われる。もしも,このことが確実であるとすれば,事は重大であるだけに,次年度の研究は,このことの確認を欠かすことができない。
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