1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04610196
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高木 俊輔 信州大学, 人文学部, 教授 (90022186)
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Keywords | 宗門人別改帳(人別帳) / 家族 / 村落生活史 / 村内係争 / 村役人 / 歴史人口学 / 婚姻圏 |
Research Abstract |
本年度は,研究実施計画にしたがって,本研究の基礎となる史料の調査・収集と,その整理(とくにカード化)を徹底的に行なった。まず,長野県東筑摩郡明科町の旧村大足村の「宗門人別改帳」の収集筆写から始めた。大部分が同町の越博太郎家所蔵であったこと,借用の便が得られたことにより,大学の研究室において日常的に筆写作業を続けることができた。越家の欠年分については,滝沢家で18冊,明南小学校で8冊補充調査をして収集した。旧大足村については,現在する82年分の「宗門人別改帳」すべての筆写を終えることができた。この筆写史料を家族ごとにまとめて整理を施し,いわゆる「家族カード」の作成の入り,その結果全部で108軒,2500人弱の個人別データをまとめ上げた。さらにこれを簡略化しパソコンに入力した。これらは予想をこえる作業量であったが,旧大足村についてデータ集積を果たしたことは,本研究の最大の成果である。 旧大足村関係の作業と平行し,すでに一応の筆写収集をしてあった愛知県北設楽郡稲武町の旧稲橋村の「宗門人別改帳」についても,「家族カード」的整理を行ない,比較検討できるように作業をすすめ,疑問点の再調査・収集を施した。旧大足村の整理のモデルにしようと,途中から旧稲橋村の作業を優先し,「家族カード」的整理を完了したので,それを本学部の紀要に,データ段階のものを発表してみた。また,長野県東筑摩郡朝日村の旧西洗馬村に関しても,村役人を経験した4軒から「宗門人別改帳」を借用して筆写収集につとめている。各年度200軒近い村であるため,予想以上に時間を費しているが,他方に残されている旧大足村の村方係争文書の収集と解説とあわせて,作業を継続している。いずれ,「家族カード」と村方一件文書とを関連させた検討に入るつもりである。
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