1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640297
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
青木 健一 金沢大学, 理学部, 助教授 (00150912)
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Keywords | カイラル対称性 / 対称性の自発的破れ / 非摂動論的くりこみ群 / 素粒子模型 / 場の理論 / 相転移 / 臨界指数 / 汎関数微分方程式 |
Research Abstract |
カイラル対称性の自発的な破れは、素粒子論の中心課題である。なぜなら、相互作用するフェルミオンのカイラル対称性が色々な階層で存在し、それらが自発的に破れていく過程が、現実の素粒子世界の多様性を説明する事に他ならないからである。本研究計画の目的は、カイラル対称性の自発的破れの新しい非摂動的な扱いの基礎を開発し、非摂動的ダイナミクスについての新しい知見を得る事にある。今年度は、新しい非摂動的なくりこみ群の構成と簡単な模型でのその解析に重点を置いた。 経路積分法による量子化から高振動数部分のみを解析的に積分して有効作用を求める。この過程を繰り返す事によって、有効相互作用のエネルギースケールによる変化を表す方程式が得られ、それが非摂動論的な繰り込み群方程式に他ならない。この方程式は、汎関数微分方程式であり、無限自由度を含む。微分相互作用を無視すると偏微分方程式に帰着するが、複雑な系では解の解析は困難である。そこで、関数空間を更に関数系展開する事によって連立常微分方程式系にし、その解の有効性、どの様な関数系展開がもっとも収束性が良いのかを、D次元スカラー理論で調べた。通常のテイラー型級数展開は非常に収束が悪く解は振動するが、展開中心を物理的な真空期待値に置き、いわば共動座標系を導入する事によって、画期的に収束性が上がる事がわかった。また、我々の計算結果と他の非摂動論的な計算方法である1/N展開やε展開の結果を比較し、我々の結果がそれぞれの有効領域をカバーするよい結果を与えている事がわかった。同時に、相互作用の微分項を無視している事による結果の差の評価を行い、非摂動論的な繰り込み群の適用領域を拡張する展望を開いた。
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