1992 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場電子スピン共鳴による重フェルミオン・超伝導物質の研究
Project/Area Number |
04640324
|
Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
千葉 芳明 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (40113881)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 宗行 大阪大学, 医学部, 教授 (80028076)
|
Keywords | 重フェルミオン物質 / 高温超伝導物質 / 電子スピン共鳴(ESR) / CeSb / Ceモノプニクタイド / パルス強磁場ESR |
Research Abstract |
研究目的 重フェルミオン物質や高温超伝導物質の電子スピン共鳴(ESR)による研究は電子間相互作用が強く,これまで困難であると考えられてきた.本研究の目的はこれらの系の物質の母結晶を調べたり,ESRの出やすい標的物質を添加したり,さらには強磁場で局在スピンを復活させることでESRを観測し,これを手掛かりに,重フェルミオン物質や超伝導物質の物性を側面から解明することである. 平成4年度の実績 1.試料の作成:ESRの観測に用いる試料は単結晶で不純物濃度等を変えたものが必要である. 重フェルミオン物質:(Ce置換型Laモノプニクタイド)の東北大学鈴木グループに系統的に作成を依頼している.現在までにCeモノプニクタイド単結晶(CeP,CeSb,CeBi,CeAs)の提供うけている.さらに,LaSb,La_<1-X>Ce_XSb(X=0.1),LaBi,La_<1-X>Ce_XBi(X=0.3),などの単結晶の提供を受けている.現在,LaPおよびCe置換LaP単結晶作成の準備を行っている. 2.ESRの研究 実験は阪大理学部のESR測定装置および阪大超強磁場実験施設パルス強磁場ESR測定装置を用いて行った.これまでにCeモノプニクタイドのESRの研究結果の概要を記す. まず,CeSbをとりあげX-BandのESRを試みたが共鳴吸収のシグナルは観測されなかった.しかし,50GHz帯での強磁場ESRの観測を行ったところ磁気相図に対応したいくつかのシグナルを発見した. さらに,他のCeモノプニクタイドついても調べたところ,CePでも明確な強磁場ESRシグナルを見いだした.今後はこれらのシグナルの角度変化などを調べ解析を行いたい. 3.高周波スパッタ装置の作製 重フェルミオン物質や高温超伝導物質は電子間相互作用が強く,電気伝導度は絶縁体から超伝導状態まで多様である.また鋭敏な温度依存性を示す.これを追究するために,種々の薄膜物質を作成したり測定する試料に電極をつつける必要がある.このために,サンユー電子(株)卓上型複合型真空蒸着装置SVC-700を基本体にして高周波スパッタ装置に改造した.完成したシステムは,通常の真空蒸着装置と高周波スパッタ装置の両方の機能をもつ小型の多目的高周波スパッタとなり,今後の種々の実験に活用できる.
|