1993 Fiscal Year Annual Research Report
負の電子親和力を持つGaAs光電面電子状態の走査トンネル顕微鏡による研究
Project/Area Number |
04650014
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Research Institution | Research Institute of Electronics, Shizuoka University |
Principal Investigator |
萩野 實 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90022128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 卓志 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (90172816)
石川 賢司 静岡大学, 電子工学研究所, 助教授 (50022140)
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Keywords | 光電面 / 負の電子親和力 / 走査トンネル顕微鏡 / ガリウム砒素 / 硫化処理 / 残留ガス吸着 / 分子線エピタキシ / ヘテロエピタキシ |
Research Abstract |
本研究は,良く定義されたGaAs(001)面を活性化してその表面構造と電子状態を明らかにし,NEA状態が生じる機構を解明することを目的としている.まず,再現性良く,かつ容易にGaAsの清浄表面を得るために,硫化処理したGaAs表面の光電面への応用を検討した.このために,硫化処理したGaAs試料の昇温脱離スペクトルの測定を行い,硫化物の脱離過程を明らかにした.また,NEA光電面の実用面で問題となる,真空中の残留ガスの吸着による感度低下の機構を調べ,セシウム/酸素活性層の状態が変化するだけではなく,下地のGaAsの酸化によって感度が低下することを見いだした.さらに,試料に用いるGaAs表面は分子線エピタキシ(MBE)法によって製作して原子的尺度で良く定義された面を再現性良く準備し,さらにその活性化過程をセシウム/酸素層の表面構造及び電子状態の解析が可能になるように,MBEで結晶成長した試料を用いた光電面の製作を検討した.製作した光電面を実際に応用するにはNEA活性面と反対側から光を入射する透過モードでの動作が望まれるので,GaAs薄膜を透明基板上に形成する必要がある.このため,我々は透明基板であるGaP上にGaAsの形成を試み,その形成初期過程を明らかにした.また,製作した光電面の電子状態を調べるために,MBE装置と一体になって超高真空中で動作するSTM装置を開発し,グラファイト(HOPG)の原子像を得た.
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[Publications] 矢後栄郎: "制御電子回路の雑音除去による走査トンネル顕微鏡の画質改善" 静岡大学電子工学電子工学研究所研究報告. 26. 125-132 (1992)
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[Publications] 藁科英永: "(NH_4)_2S_x処理したGaAS表面の昇温脱離法による評価" 静岡大学電子工学電子工学研究所研究報告. 27. 33-40 (1992)
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[Publications] Takashi Nomura: "Anisotropic Relaxation of Misfit Strain in GaAs Films Grown on GaP(001)" J.Cryst.Growth. 127. 584-588 (1993)
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[Publications] Takashi Nomura: "Temperature Programmed Desorption Study of (NH_4)_2S_x Treated GaAs Surfaces" Appl.Surface Sci.65/66. 638-642 (1993)
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[Publications] Tatsuaki Wada: "A Thermal Desorption Analysis for the Adsorption of CO_2 on GaAs Photocathodes" Surface Sci.285. 186-196 (1993)
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[Publications] 矢後栄郎: "分子線エピタキシャル成長した半導体表面観察用STM装置" 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告. 15 (印刷中). (1994)