1992 Fiscal Year Annual Research Report
アコースティックエミッションを利用したコンクリートの劣化の評価に関する研究
Project/Area Number |
04650427
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
矢村 潔 摂南大学, 工学部, 教授 (30026257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道廣 一利 摂南大学, 工学部, 助教授 (50100566)
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Keywords | アコースティックユミッション / 凍結融解作用 / アルカリ骨材反応 / 劣化 / 弾性係数 / 強度 |
Research Abstract |
本研究は、劣化したコンクリート供試体の載荷時におけるアコースティックエミッション(AE)特性を調べることによって、コンクリートの内部構造の状態を明らかにし、健全なコンクリートと比較し、さらに従来から行われてきた実験室での劣化の進行試験における膨張量、動弾性係数、ひびわれ特性といったパラメーターと対応することによって劣化の進行程度の位置づけを行い、残存耐力特性あるいは今後の劣化の進行量を予測する方法を確立することを目的としている。 現在まで、研究はほぼ当初の研究計画通り順調に進行している。すなわち、試験室においてアルカリ骨材反応および凍結融解作用による促進劣化させたコンクリート供試体について圧縮載荷試験を行い、その際のAE特性を測定し、健全なコンクリートと比較し、劣化の進行の力学的機構について検討している。これらの実験を通して現在までに以下の知見が得られている。凍結融解作用で劣化したコンクリートは、同程度の強度を有する劣化していないコンクリートと比較して、破壊に結びついていくAE発生過程はほぼ同じと考えられるが、載荷初期に大量のAE発生がみられる。このような載荷初期におけるAE発生傾向は、劣化によって動弾性係数が当初の60%程度にまで低下し、圧縮強度が10%程度低下しはじめるあたりから顕著になる。また、アルカリ骨材反応による劣化の場合には、AEの発生状況が非常にバラついており、内部構造が不安定になっているものと推測される。さらに、AE発生状況の把握に関して、終局状態の90%までの発生数で相対化する、発生数の経時的な変化を把握するには変動を2次曲線等で近似し、その接線勾配で表現する、等が有効であることが明らかとなった。
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