1993 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡浮遊砂輸送解析並びに現地観測に基づく中小港湾埋没過程の解明と埋没対策の提案
Project/Area Number |
04650453
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
灘岡 和夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70164481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 一正 運輸省港湾技術研究所漂砂研究室, 室長(研究員)
八木 宏 東京工業大学, 工学部, 助手 (80201820)
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Keywords | 港湾埋没 / 非平衡浮遊砂輸送 / 現地観測 / スペクトル解析 / 長周期波 / 剥離渦 |
Research Abstract |
昨年の9月13日から10月25日にかけての約3週間、千葉県飯岡漁港において、中小港湾の埋没機構を探るための長期連続観測を実施した。一昨年の9月22日から10月14日にかけて行った前回の観測では、計測器設置時における計測器破損や期間中の計器信号出力の不良など、いくつかのトラブルに見まわれた。その反省をふまえて、今回は、計測器の設置方法やセンサーに改良を加えた。さらに、今回の観測では、前回の観測で港口部において目視観測された水平大規模渦の挙動を明らかにするために、模型ヘリコプターによる空中写真およびビデオによる撮影を行った。以下に、主要な解析結果を述べる。1)流速変動や水位変動のスペクトル解析を行い、港口部内外での長周期変動成分の現れ方を調べた結果、前回観測されたのと同様の、100s程度の周期の長周期変動成分が、特に港口部付近の流速場において有意な大きさで存在することがわかった。 2)この、100s程度の周期の流速変動が顕著に現れる原因を探るため、飯岡漁港の湾水振動計算を詳細に行った結果、108s程度のところに、かなり高い増幅率が現れることがわかった。一方、沖波データの解析結果から、入射波自体にも100s程度の周期にスペクトルピークがしばしば現れることが示された。これらのことから、飯岡漁港においては、その幾何形状に起因する増幅機構と入射波自体のスペクトル特性の両方の相乗効果で100s程度の周期の変動が顕著に現れることが明らかになった。 3)今回港口部付近に集中して設置した複数の流速計のデータの解析から、港口部に発生する水平大規模渦によるものと思われる流速変動成分を抽出することに成功した。 4)この水平大規模渦の実態をより直接探るために行った上記の空中撮影により、港口部での長周期流速変動に伴って、港口部端部より流れが剥離し、時間とともに水平大規模渦に発達していくとともに、底質を巻き上げ濁る様子を映像で記録することに成功した。
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[Publications] 松本朗,松岡道男,中山哲嚴,山本潤,灘岡和夫,八木宏: "中小港湾埋没機構解明に向けての長期連続現地観測の試み" 海岸工学論文集. 40. 491-495 (1993)
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[Publications] 中山哲嚴,山本潤,松岡道男,灘岡和夫: "中小港湾の港口部に発生する水平大規模渦についての現地観測" 海岸工学論文集. 41(発表予定). (1994)