1992 Fiscal Year Annual Research Report
湾外水の差込み現象(密度流)とこれに伴う大規模貧酸素化の発達機構の解明
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04650465
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
宗景 志浩 高知大学, 農学部, 助教授 (50036745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 望 高知大学, 海生研, 助教授 (20193724)
木村 晴保 高知大学, 農学部, 教授 (00145111)
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Keywords | 貧酸素化 / DO消費速度 / 硫化水素によるDO消費 / 赤潮 / 密度流 / 差込み現象(Intrusion) / 物質収支 / 海水交換 |
Research Abstract |
1.水温、塩分、DO、Feなどの海洋環境調査と暗瓶法によりDO消費速度の観測を行い、以下の知見を得た。 (1)差込み時に硫化水素によって消費されるDO量を推算した結果、暗瓶法から求めたDO消費をはるかに上回った。 (2)貧酸素化時における硫化水素の生成、Feの溶出には一定のパターンが見られた。 (3)9月9日〜16日の大潮時に差込みが発達し、表層部の低酸素化と黒色化が生じた。 (4)差込み時にはFeが大量に水中に分布することから、底泥還元物質の巻き上げが示唆された。 2.差込み発達期にドップラー流速計を用いて流速分布と浮遊物質分布の観測を行い、以下の知見を得た。 (1)差込み発達期には湾内底層部で流入、表層部では流出が卓越する流動構造が見られた。 (2)湾口浅部では流速の鉛直成分が発達しており、底層部では上昇流、表層部では下降流が観流が観測され、この流れに対応して底層部での浮遊物質の巻き上げと表層部での沈降が見られた。 (3)湾内表層部では浮遊物質が流出成分に乗って湾口方向に流出する傾向が見られたが、湾口浅部での下降流に乗って、この付近で浮遊物質の収束と集積が生じていた。 3.過去(1988年〜1991年)の事例研究から以下の知見を得た。 (1)浦の内湾では6月から9月にかけて、底層部は強い貧酸素水塊が形成され、底層部は硫化水素や栄養塩などが溶出する。 (2)大潮時には湾外の高塩分水が底層部に侵入する差込み現象が生じて、底層の貧酸素化は解消されるが、湾央から湾口にかけて表層部の低酸素化や黒色化が見られ、しばしば鞭毛藻赤潮が発生する。時にはこれらが原因と思われる魚介類の大量斃死が生じている。
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[Publications] Y.Munekage: "Application of a Two-Layer Box Model to Dissolved Oxygen Budget in Uranouchi Bay" Coastal Engineering in Japan. 35(1). 129-145 (1992)
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[Publications] 宗景 志浩: "浦の内湾における硫化水素の溶出が貧酸素化に及ぼす影響" 海岸工学論文集. 39. 981-985 (1992)
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[Publications] 宗景 志浩: "湾外水の差込みが浦の内湾の鞭毛藻赤潮の発生に及ぼす影響" 海岸工学論文集. 39. 986-990 (1992)