1993 Fiscal Year Annual Research Report
湾外水の差込み現象(密度流)とこれに伴う大規模貧酸素化の発達機講の解明
Project/Area Number |
04650465
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Research Institution | KOCHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宗景 志浩 高知大学, 農学部, 助教授 (50036745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 望 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 助教授 (20193724)
木村 晴保 高知大学, 農学部, 教授 (00145111)
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Keywords | 亜表層部の貧酸素化 / 鞭毛藻プランクトンの鉛直移動 / 異常気象 / プランクトンによるDO消費 / DO収支 / 鉛直混合 / 赤潮 / 日照時間 |
Research Abstract |
(1)1993年度は降雨量が平年値大きく上回り,日照時間が極端に少ない異常気象が続いた。 (2)例年発生する底層部の貧酸素化はみられなかったが,8月と9月の中旬および11月上旬に,水面下1〜6m層で3ppm以下の強い貧酸素水塊が形成された。亜表層部の貧酸素化は,いずれの場合も,天候が悪化し日射時間が極端に低下した直後から始まり,貧酸素化の初期には鞭毛藻プランクトンが1000cells/mlを越え,赤潮を形成していた。 (2)鞭毛藻プランクトンは日中表層に分布するが,日没とともに水面下8〜15mまで鉛直降下する。DO消費速度は海水中のプランクトン数(クロロフィル濃度)に比例して増大した。その結果,鞭毛藻プランクトンが表層部に1000cells/ml程度おれば,これが夜間に降下し亜表層部で10〜20mg/m^3/hの酸素を消費することが分かった。 (3)亜表層部のDO収支を推算した結果,亜表層部のDO濃度は海水中での生産と消費に支配されており,鉛直混合や差込みによるDO補給の影響は小さかった。 (4)貧酸素化が始まった9月18日のDO生産速度および消費速度は,それぞれ30,40mg/m^3/h程度であった。9月18日頃から日照時間が減少し、生産速度Pは10mg/m^3/h程度まで減少する。一方,海水のDO消費ポテンシャル(Cp=40mg/m^3/h)は減少することはなく,むしろ,鞭毛藻プランクトンの夜間降下による亜表層部でのDO消費10〜20mg/m^3/hが加わわるため,DO消費速度60mg/m^3/h程度まで増加し,急激な貧酸素化が生じる。 (5)9月23日頃から天候が回復すると,消費速度は40〜60mg/m^3/hのままで,DO生産が60〜75mg/m3/hまで増大し濃度が回復する。
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[Publications] 宗景志浩: "浦の内湾の窒素収支と富栄養化機構に関する研究" 海岸工学論文集. 40. 1086-1090 (1993)
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[Publications] 宗景志浩: "鉄および硫化水素の貧酸素化に伴う溶出と差込みによる巻き上げについて" 海岸工学論文集. 40. 1091-1096 (1993)
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[Publications] 宗景志浩: "湾外水の差し込みに伴う流れ構造と浮遊物質の挙動について" 海岸工学論文集. 40. 236-240 (1993)
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[Publications] 宗景志浩: "ADCP観測による浦の内湾の流れ構造と浮遊物質分布の特性" 高知大学学術研究報告. 42 印刷中. (1994)
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[Publications] 宗景志浩: "浦の内湾の水理・水質環境" くろしお. 9 印刷中. (1994)
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[Publications] 宗景志浩(共著): "黒潮と土佐" 高知新聞社, 315 (1994)