1992 Fiscal Year Annual Research Report
各種メタンモノオキシゲナーゼの酵素特性とトリクロロエチレン分解能に関する研究
Project/Area Number |
04650497
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古川 憲治 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池 道彦 大阪大学, 工学部, 助手 (40222856)
岩堀 恵祐 大阪大学, 工学部, 助手 (40183199)
藤田 正憲 大阪大学, 工学部, 教授 (70029289)
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Keywords | メタン資化性菌 / 揮発性塩素化脂肪族炭化水素 / トリクロロエチレン / メタンモノオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
地下水汚染の原因物質である有機塩素系化合物としてトリクロロエチレン(TCE)を取り上げ、TCE分解活性の強いメタン資化性細菌の集積を各種植種源から行った。その結果、メタン資化性細菌は広く自然界に分布し、分解能に差はあるが集積菌はTCEを分解できることが判った。これら集積菌のうちで、TCEに汚染された地下水から得た集積菌が最も高いTCE分解活性を示した。 この集積菌は、(1)テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタンを分解できない、(2)1〜30mg/LのTCEを0.4mg-TCE/mg-SS/dayの高い活性で分解する、(3)TCE分解速度はTCE濃度が0.1mg/L以下で低下する、(4)TCE分解活性は、対数増殖期後半で最も高い、(5)3種類の菌からなる混合菌である、等の特性のあることを明らかにした。 現在、集積菌からメタン資化性細菌の純粋分離を鋭意試みているが、寒天培地上での生育の遅い菌と、寒天培地上で薄く広がるコロニーを特異的に形成する菌が混合していることから、未だ純粋と確認できる株を得ていない。さらに、混合菌ではTCEを分解できるのに、分離を進めるとTCEを分解できなくなるという興味ある事実も判ってきた。また、TCEの分解を担う酵素、溶解性メタンモノオキシゲナーゼの発現が、培地中の銅イオン濃度に依存することから、銅イオン濃度を10μm/L以下に低下させた培地での純粋分離も行っている。低い銅濃度の培地では、メタン資化性細菌の生育が抑制されるので、現在、如何にすればTCEの分解能に優れたメタン資化性細菌を迅速に純粋分離できるか、その技術の確立を当面の目標として実験を進めている。
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