1992 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートの高強度化と寸法効果に関する破壊力学的研究
Project/Area Number |
04650510
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三橋 博三 東北大学, 工学部, 助教授 (90091751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼尾 達弥 茨城大学, 工学部, 助手 (90164649)
桐越 一紀 東北大学, 工学部, 教務技官 (60240660)
成田 健 東北大学, 工学部, 助手 (00155996)
野村 希晶 東北大学, 工学部, 助手 (80125632)
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Keywords | 高強度コンクリート / 破壊力学 / 破壊エネルギー / 引張軟化則 / 微細構造 |
Research Abstract |
1)コンクリートの高強度化が、破壊強度の寸法依存性に及ぼす影響を開口型(モードI型)破壊力学実験及び解析を行い検討した。RILEMの標準試験体(断面100×100mm)の切欠きばりを用いた実験では、圧縮強度の増大と共に約80MPaまでは破壊エネルギーの増大傾向は認められたものの、100MPaを超えるとむしろ減少傾向を示した。引張軟化則のパラメータ解析の結果、圧縮強度の増大に伴って引張強度も増大するが、エネルギー吸収性能に関係の強い限界ひびわれ幅はむしろ圧縮強度の増大と共に減少する傾向が認められた。この結果、破壊エネルギーは圧縮強度の増大に伴って一時大きくなり、その後は増大傾向が止るかあるいは減少する傾向を示す原因になったものと考えられる。 2)せん断型(モードII型)破壊力学のパラメータ評価試験法を検討した。多くの試験方法はモードI型とモードII型の混合を完全に避ける事が難しい事が明らかになったので、試験方法の簡明さから、一面せん断破壊試験による評価を行う事とし、治具の開発を行った。せん断型試験の場合には、上述の問題の他にも初期剛性の増大の結果より大きなひずみエネルギーが試験体内に蓄積される事になり、ピーク以降の軟化域をいかに安定して制御するか等、今後解決すべき幾つかの問題点が明らかとなった。 3)コンクリートの高強度化は、水セメント比の低減やシリカフュームなどのセメント粒子よりも細い粒子の混入により、マトリックスの微細構造をより緻密にする亊により実現される。このような材料内部の微細構造の変化が破壊力学パラメータにどのような影響を及ぼすのかを検討した。その結果、引張軟化則の結合応力の限界値、即ちひびわれ開始応力はコンクリートの細孔容積量と密接な関係があり、微細構造の緻密さが結合応力の増大に寄与する亊が明らかとなった。
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