1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650627
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
宮田 保教 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (50016177)
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Keywords | デンドライト / ミクロ偏析 / 融液流動 / 一次アーム / 二次アーム / 成長理論 / 界面安定性 |
Research Abstract |
一次、二次アームの派生・生成機構を解明するため、実験的研究、理論的研究を進め、以下のような成果を得た。まず、実験的研究においては (1)前年度において制作された、強制的に融液流動を付加できる過冷凝固装置により、融液流動下でのサクシノニトリルのデンドライト成長のその場観察実験を行い、与えられた過冷度における流動のある場合、ない場合のデンドライト先端成長速度を測定した。その結果、デンドライト先端成長速度は、流動が付加されない場合に比較し、流れの上流方向で速くなることが示された。また、重力の向きに対して上方向、下方向に凝固させることにより、自然対流の寄与も評価され、高々1mm以下の強制流動速度程度の寄与を成長速度に与えていることが示された。 (2)融液中に気泡が混入している場合には、この気泡が界面形成過程に影響を与え、その結果としてミクロ偏析にも影響する。そのため、温度勾配下に置かれた気泡の挙動を実験的に検討した。その結果、気泡はマランゴニ効果により、温度勾配と気泡径の積に比例した速度で、高温側へ移動することが示された。これは、過冷凝固においては気泡は、デンドライト界面近傍に集中することを示している。そのため、気泡の存在は過冷凝固における形態形成の研究にとっては危険因子であることが分かった。 一方、理論的研究においては (3)熱拡散は等温線に垂直方向であり、界面に垂直方向の熱フラックスは保存される。界面はギプス・トムソン効果のため必ずしも等温ではないため、必然的に界面方向の成長が誘起される。そこで、この界面方向の成長を界面曲率勾配と関連づけることにより、マージナル・スタビリティを内蔵したデンドライト成長理論を構築し、十分な予言性のある理論形式となり得ることを示した。
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