1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660040
|
Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
高瀬 要一 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部・計測修景調査室, 計測修景調査室長 (00090374)
|
Keywords | 庭園遺構 / 平面計画 / 石組・護岸手法 / 導水・排水手法 / 地理的位置・周辺地形 |
Research Abstract |
今年度は、はじめに日本古代の庭園遺構について平面図(縮尺1/50)・断面図(主要部について縮尺1/20)を統一的に作成した。次に、これらの遺構図と遺構写真・発堀調査報告書・周辺地形図などをもとに各庭園遺構を形態と立地の要素ごとに分析し、比較検討作業を行い、以下の新しい知見を得た。 1 平面計画(地割り・建物との関係など) 建物と園池の双方の遺構が見つかっており、両者の関係が明らかになっている遺跡には2タイプがある。第一は付近に建物がない広場の中央に作られた園池で、小墾田宮推定地遺跡がある。第二は園池に建物が接する、または園池上に建物が張り出すもので、石神遺跡・平城宮東院庭園・平城京三条二坊庭園がある。 2 石組・護岸手法(材料・石の使い方など) 園池護岸には景石を伴うものと、伴わないものがあり、伴わないタイプは方形、または円形の幾何学的平面をもち、さらに護岸は垂直に近い角度の玉石積である。一方、景石を伴うタイプは屈曲する複雑な平面をもち、護岸はごく緩やかな角度の玉石敷、または礫敷であり、両者は対照的であり、おそらくその性格、機能が全く異なることを示すのであろう。 3 導水・排水手法 導水は自然湧水地点に園池を設けるものと、水路によって人工的に導水した水を園池に引き入れるものがある。排水もオーバーフローのみのものと、オーバーフローに加えて池底に木樋を有する、2タイプがある。 4 地理的位置・周辺地形との関係 園池の背後に低丘陵がひかえるものと、全くの平担地の2タイプにわけることができる。以上。
|