1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04660164
|
Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福島 康記 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70003746)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 邦夫 東京大学, 農学部・付属演習林, 助教授 (40203898)
|
Keywords | 林業生産力 / 森林管理 / 森林経営 / 素材生産業 / 資源成熟化 / 山村問題 |
Research Abstract |
林業経営・労働力、山村構造にわたる研究成果を以下に摘記する。 (1)厳しい長期不況のなかでわが国の林業・林産業の再編成が急速に進むであろう。(2)現状で、一部素材生産企業・山林経営を担い手として、いわゆる高性能機械使用を契機とする新たな生産力段階に入っている。(3)新たな動きは山林経営と素材生産業の両部門にわたって見られ、その動向は大きな地域差を伴っていている。(3)新たな経営類型の第1は、山林経営における育林・素材生産にわたる一貫経営であり、雇用労働・大型機械・高規格高密路網路の組み合わせの大規模経営と、低規格高密路網・中小型機械・自家労働を含む小人数の労働力の組み合わせの中規模経営に別れる。旧林業地の高価な柱材の生産を行っている地域-近畿地方などに多く見られる。(4)経営類型の第2は、大規模製材工場を担い手とし高性能機械使用を契機とする素材生産の大量生産・高能率経営である。人工林成長量が大きく、国有林も少なくなく中規模山林所有者の多い九州・四国山村において、その活動が目立っている。(5)北海道において、素材生産企業による機械化の新たな進展が見られるが、チップ不況も重なり、枯渇しつつある資源とますます狭まっている市場を巡って企業間の激烈な競争が始まっている。(6)林業生産力の発展は、これまで、機械化の進展に伴うものであった。在来の生産方法は労働力を失って壊滅することは必至であるが、新たな高性能機械段階は未だ緒についたばかりであり、その作業は、山林経営が素材生産を行う形態のものを除き、皆伐、それも面積が比較的大きいものが主であり、資源破壊の進行を予想させる。今後、地域資源の有効利用を促進し山村社会の再構築を図るとともに、森林組合の組織強化と中規模林家経営の振興による資源管理の強化を図り、さらに、高性能機械による作業を間伐・択伐作業へ移行させる助成措置が必要である。
|
Research Products
(2 results)